キャリアJUMPはあらゆる職業について徹底解説する『職業図鑑』です。この記事で紹介するデータサイエンティストは、統計学やAIなどを使用して膨大なデータを分析し、意味ある情報を抽出してビジネスに活用する専門家です。この記事では、そんなデータサイエンティストのお仕事を紹介いたします。
データサイエンティストってどんな仕事?
データサイエンティストとは、統計学や科学的方法論、人工知能(AI)などのあらゆる分析手法を用いて膨大なデータから新たな価値を見出し、ビジネス課題などを解決していく専門職です。具体的にはコスト削減やユーザー行動の分析、ニーズ分析による有効な広告の売り出しなど、多岐にわたる領域で経営戦略に貢献する力を持っています。
データサイエンティストの将来性
データサイエンティストは、インターネットの急激な普及により情報が複雑化していった現代において、根本にある課題やニーズをデータ分析で解決するために生まれた職業だと言われています。AI技術の進化や機械学習の普及、そしてビッグデータの活用の広がりとともにますます情報が錯綜している今、これらの技術を操って新たな価値を生み出すデータサイエンティストは、今後も大注目の将来性ある職種と言えます!
データサイエンティストの仕事内容
まずデータサイエンティストの仕事は、最終目標の決定をサポートする「レポーディング」と実際の「モデル構築・業務システムへの導入」の2つに分けられます。中でもレポ―ディングはPPDACサイクル、モデル構築・業務システムへの導入はCRISP-DMというデータ分析の基本に基づいて行われていることが多いです。
課題抽出・企画立案
データサイエンティストは、まず企業のビジネス課題や目標を踏まえた上で課題を選出し、仮説に基づいた分析の企画を立案します。この段階では、どのようなデータが必要でどのように分析すれば有益な洞察が得られるかを考えます。また、プロジェクトの範囲、目標、期限なども設定します。PPDACサイクルではPの部分が非常に重要で、仮説立てを正しく行えることが求められます。
データ収集・整備
次に、分析に必要なデータを収集します。これには、既存のデータベースからの抽出や外部からのデータ購入、または新たにデータを生成する作業などを幅広く行います。収集したデータの品質と正確性を保つことが重要で、必要に応じてデータのクレンジングや前処理が行われます。
データ解析と価値の抽出
統計学的手法や機械学習アルゴリズム、その他の分析技術らを活用し、収集したデータの分析を行います。分析の結果は、グラフやチャートなど視覚的に理解しやすい形で可視化され、問題点の抽出が容易になります。さらに「この解析結果から何が言えるか」という解釈を行い、そこから価値を見出さしていくのも重要な役目です。
評価と報告
さらに上層部や全体での重要な洞察が推奨される行動計画を、報告書やプレゼンを通じて関係者に伝えます。報告段階では、分析結果の解釈とそれをビジネス戦略に適用させる方法の提案をきちんとプレゼンすることが非常に重要です。
業務への組み込みと改善
いよいよ最終段階に入り、分析結果で得た価値を創出するためのモデル構築や業務プロセスへの導入を行います。これにより、ビジネスの改善や新たな戦略の実行が可能になります。また、必要に応じてさらなる改善や調整を行うことで、中長期的なビジネス成長が行えるようサポートします。
未経験からデータサイエンティストになるには?
未経験者からデータサイエンティストに転職することは可能です!採用の難易度はそれなりに高いですが、データサイエンティストは人手不足問題を抱えているため、採用側の求めているものに引っかかれば採用のチャンスは十分あります。
ここからは、0からデータサイエンティストになる方法を紹介します!
データサイエンティストへの主な転職方法
データサイエンティストへの転職を目指すなら、主に3つの方法があります。転職は容易ではないため、いきなりデータサイエンティストの求人に応募するよりも採用の可能性が高まるでしょう。
ITエンジニア職などからの転職
ITエンジニア、特にデータベース管理やPythonプログラミングに関わる職種の職歴を持っておく手段がおすすめです。未経験可の求人で非正規やアルバイトを経験しておけば、実務経験を積みながらデータサイエンスに関する基礎知識を学べます。
専門教育機関での学習後の転職
大学や専門学校でデータサイエンスを学び、新卒または学習終了後にデータサイエンティストとして就職する方法もあります。とはいえお金がかかってしまうので、簡単な方法ではないですよね。
資格勉強・基礎知識の独学による転職
資格取得のためのオンラインコースや書籍を活用し、スキルを身につけた後に転職する方法もおすすめです。毎日数時間の学修を計画的に行っていく必要がありますが、熱意と基礎知識をアピールできるためおすすめの手段です。
文系だと不利なの?
文系出身者でもデータサイエンティストになることは可能です。理系出身者のみ可の求人はそれほど多くありません。ただし、数学や統計学、プログラミングなどの技術的スキルを習得する必要があるため、どうしても不得意な方では不利に働いてしまうでしょう。文系出身でも、適性があればデータサイエンティストとして活躍することが可能です。
データサイエンティストに求められるスキル
データサイエンティストにとして活躍するために必要なスキルは多岐にわたります。データサイエンティスト協会によると、データサイエンティストに求められるスキルセットというものが公開されているため、以下でその内容を簡単に紹介します。
統計や機械学習に対応するデータサイエンス力
データサイエンティストを目指すなら、機械学習や深層学習(ディープランニング)などの仕組みや考え方の理解を深めるため、まずは数学や科学、統計学をはじめとするデータサイエンスの基礎知識が求められます。そのうえで、データ分析や情報処理、予測モデリング、AIなどを上手く活用できる人材になっておく
今すでに知識がないといった方は、資格取得や独学で事前に身につけておくことが望ましいです。
実装を行うデータエンジニアリング力
実際にデータの処理、分析、可視化などの作業を行うためには、ITスキルが必要不可欠です。これらの言語によるプログラミング能力が求められます。MySQLやDockerなどのデータベースのプラットフォーム、さらにApache Superset、Grafana、Graylogなどのビジネス向けのデータ分析ソフトウェアであるBIツールなどを扱えるようになっておくことが求められます。
数が多く大変に感じるかもしれませんが、無料で扱えるものも多くあります。まずはどれか1つでも触ってみましょう。
経営戦略に結び付けられるビジネス力
データサイエンスに直接関わる専門的なスキル以外にも、論理的な思考力や経営の知識、そしてプレゼン能力が備わっていることも重要です。単にデータ分析をするだけでなく、その結果を経営陣と共にビジネス戦略にどう活用していくかを検討していくことも仕事の一つです。そのため、自身の会社のビジネスモデルや市場動向、競合の状況への理解も深く持っておくことが望まれます。
データサイエンティストに活かせる資格
データサイエンス力やデータエンジニアリング力を身につけるには、実務経験がない場合困難ですよね。そこで、資格を取得することによって実際にスキルがあることのアピールに繋がります。ここでは、データサイエンティストへの転職に役立つ主な資格を紹介します。
資格名 | 証明できる知識・スキル | 資格概要 |
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統計検定 | 統計学やデータ分析の基礎から応用まで | データ分析の基本となる統計学の理解度を証明する資格。データサイエンティストに必須のスキルを体系的に学ぶことができます。 |
Python3エンジニア認定データ分析試験 | Pythonを用いたデータ分析技術 | Pythonはデータサイエンスに広く用いられるプログラミング言語。この試験はPythonを使ったデータ分析の能力を証明します。 |
G検定 | 機械学習や深層学習に関する基礎知識 | AI技術の基本的な理解を証明する資格。機械学習や深層学習の基礎から応用に至るまでの知識を問われます。 |
E資格 | 機械学習や深層学習の実践的なスキル | 実践的な機械学習や深層学習の能力を証明する資格。高度なデータ分析スキルを有していることを示します。 |
情報処理技術者試験 | IT技術者としての基礎から応用技術 | ITスキルを幅広く網羅する試験。データサイエンティストに必要なプログラミング、データベース管理、システム設計などの知識が得られます。 |
データサイエンティストのキャリアパス
データサイエンティストは、高い専門性を活かしてさまざまな業界での転職が可能で、給与アップが目指せます。ここでは、そのごく一部を紹介します。
プロジェクトマネージャー
データサイエンティストとしての経験を活かし、システム開発などプロジェクト全体の管理・運営を担うPMへの昇進がメジャーです。そのためには高いビジネススキルを持っていることが重要で、分析結果を基にプロジェクトの方向性を決定し、チームを率いて目標達成のために責任を持つポジションとなります。戦略立案やチームマネジメントにやりがいを感じるようになったら、おすすめのキャリアパスです。
AIエンジニア
AIエンジニアは新しい職種で、AI技術を活用してビジネスの課題を解決するエンジニアです。データサイエンティストのスキルを基に機械学習や深層学習などのAI技術を駆使することで、アルゴリズムの開発やシステムの最適化を行える有数の人材として活躍できるでしょう。データ分析と技術開発の双方に興味がある人に適したキャリアパスです。
コンサルティングファーム
ビジネススキルとデータ分析の両方の知識を活用し、クライアントの課題解決に貢献できるコンサルティングファームに所属するキャリアパスもあります。顧客に寄り添った戦略策定や業務改善提案など、幅広い業務に携わることでビジネスコンサルティングの領域でも高い専門性を発揮できます。
研究開発職
研究開発職では、新技術や新製品の開発に従事する職種です。データサイエンティストの統計スキルや分析能力が求められ、市場のニーズを徹底的に分析することで新しいアイデアや製品を創出します。技術開発に興味がある人に適したキャリアパスで、創造力と研究心が重要です。