キャリアJUMPはあらゆる職業について徹底解説する『職業図鑑』です。この記事で紹介する機械学習エンジニアは、AI技術を駆使してデータから学習し、予測や認識、分類を自動化するアルゴリズムの開発と実装を行う専門職です。この記事では、そんな機械学習エンジニアのお仕事を紹介いたします。
機械学習エンジニアってどんな仕事?
機械学習エンジニアは、膨大なデータを解析してそれをもとにコンピュータを学習させることで、最適な機械学習アルゴリズムを設計、開発するのが仕事です。近年急激に進化しているAIを導入する業界が増えており、特に需要が高まっています。
具体的な仕事内容は企業やプロジェクトによって異なり、データサイエンティストやデータアナリストと仕事内容が被ることもあります。
そもそも機械学習とは?
機械学習とはAI技術の一分野で、膨大なデータをAIに学習させて特徴やパターンを発見する技術です。さまざまなデータを基にパターンを学習させることで、あらゆる予測やデータの法則性の発見などが行えます。これによって、売上予測やターゲットマーケティング、自動運転やセキュリティ分野など広範囲で応用されています。機械学習アルゴリズムには、主に3つの種類があります。
機械学習エンジニアの仕事内容
機械学習エンジニアはAI技術の進歩を支える中心的存在であり、さまざまな複雑な作業をこなしています。以下では、この職種の主な業務を詳細に解説します。
要件定義
機械学習エンジニアの業務は、まずビジネス上の問題を明確に定義することから始まります。これには問題点の特定や改善すべき指標の明確化、そして機械学習以外の解決策の有無の検討なども同時に行います。
データ前処理・整形・加工
機械学習プロジェクトの初期段階で重要なのがデータ前処理です。ここではデータ量の確保、構造化、セキュリティチェック、加工コストの評価などが行われ、高品質な学習データを準備します。データの品質が直接学習モデルの性能に影響を与えるため、慎重な処理が必要です。
機械学習の実施
事前の準備が整ったら、次に適切な機械学習モデルの選択とトレーニングが行われます。このプロセスでは、データの特性とプロジェクトの目的に基づいて最も適したモデルを先程紹介した3つの種類などから選定し、効率的に学習を進めます。
学習モデルの精度評価
出来上がったモデルは、問題解決においてモデルがどれだけ効果的であるかなどその精度を評価されます。検証後は必要に応じて改善を行い、汎用性が高く一定量の結果を提供できるモデルの開発が目指されます。
アルゴリズムやモデルの研究・開発
学習モデルが完成した後も、機械学習のアルゴリズムやモデルの研究開発を欠かさず行うのも役割です。機械学習は進化が早い分野のため、エンジニアは最新の技術トレンドを追い続け、新しいアルゴリズムやモデルをプロジェクトに適用する必要があります。継続的な学習と技術の適応が、エンジニアにとって不可欠です。
未経験から機械学習エンジニアになるには
機械学習エンジニアへの未経験から転職するのは簡単ではなく、難易度が高いです。理系や情報系出身者なら難易度は少し下がりますが、機械学習アルゴリズム、データ処理と分析、数学と統計学、そしてプログラミング言語などを1から勉強するのはどうしても骨が折れてしまいますよね。
しかし、適切な学習方法と戦略を採用すれば、未経験からでも機械学習エンジニアとして成功する道は開けます。ここからは、未経験から機械学習エンジニアを目指す方法と、そのために必要なスキルや勉強法を紹介します。
転職するなら持っておいた方が良いスキル
プログラミング・データサイエンスなどの知識
未経験から機械学習エンジニアを目指す場合、まずはプログラミング言語(特にPython)、基礎的なコンピューターサイエンスの知識、データサイエンスの基本、そして統計学などさまざまな知識を身につけておいた方が望ましいです。実務経験が無い分、これらの概念を事前に理解しておくことが重要になります。
何から勉強したらいいのかわからないという方は、まずはPythonのプログラミングを触ってみることから始めましょう。機械学習エンジニアの業務に応用できるAIやプログラミングの知識を身につけることができるので、手を動かしながら学習できておすすめです。
エンジニアなどIT関連の実務経験
基礎知識を身につけるだけでなく、実践経験を積んでおくこともおすすめです。エンジニア自体の経験を積んでおくことで、いきなり機械学習エンジニアを目指すよりもハードルが下がります。未経験者可のITやWeb、データ分析関連のエンジニア職に応募し、実績や経験を積み重ねていくのがおすすめのロードマップです。
機械学習エンジニアに活かせる資格
機械学習エンジニアの仕事をするうえで必要になってくる資格は、機械学習やAI分野などをはじめとして非常に幅広く存在します。他の職種にも活かせる資格がたくさんあるため、見ていきましょう。
資格名 | 概要 | 難易度 |
---|---|---|
E資格 | エンジニア向け。ディープラーニングの実装能力を評価する資格。 | 高 |
G検定 | ディープラーニングの基礎知識と活用能力を評価する資格。 | 中 |
ITパスポート | ITの総合知識を評価する国家試験。 | 低 |
Pythonエンジニア認定データ分析試験 | Pythonを使ったデータ分析能力を評価する資格。 | 中 |
統計検定 | 統計処理とデータ分析スキルを評価する資格。 | 低〜高(級による) |
画像処理エンジニア検定 | 画像処理技術の知識と応用能力を評価する資格。 | 中〜高(級による) |
基本情報技術者試験 | IT業界全般の基礎知識を評価する国家試験。 | 低 |
応用情報技術者試験 | 応用レベルのIT知識を評価する国家試験。 | 高 |
AI実装検定 | AI実装に関する基本スキルを認定する資格。 | 中 |
人工知能プロジェクトマネージャー試験 | AIプロジェクトの管理能力を評価する資格。 | 高 |
まずは、難易度の低いものからチャレンジしてみましょう!さらに機械学習エンジニアに転職した後も、将来のキャリアプランに合わせて資格勉強は続きます。ここにない資格の勉強もいずれ行う必要があることを覚えておきましょう。
機械学習エンジニアのキャリアパス
機械学習エンジニアで培ったスキルや経験を活かし、さらなる給与アップやキャリアアップのためにおすすめな転職先を紹介します。
データサイエンティスト
データサイエンティストは、大量のデータを分析して有用な情報を抽出し、企業のビジネス戦略や意思決定に活用する専門家です。この職種は統計学、データマイニング、そして機械学習の知識が不可欠のため、機械学習エンジニアからの転職が容易です。
また、データを効果的に解釈しプレゼンテーションする能力や、ビジネスの理解も重要となります。データサイエンスのスキルを活かして企業のデータ駆動型の経営戦略を支援することで、給与アップが狙えます。
AIリサーチャー
AIリサーチャーは、人工知能の新たなアプリやアルゴリズムを研究開発する職種です。こちらも深い学術的知識、特に機械学習や人工知能の理論に関する専門知識が求められるため、機械学習エンジニアでの経験がすぐに活かせる仕事です。
まだ広くは浸透していない職種のため、AI分野の進展に貢献できるだけでなく、業務の効率改善や働き方改革、学会での発表など幅広い仕事を行います。
プロジェクトマネージャー(PM)
プロジェクトマネージャー(PM)は、IT業界でのシステム開発などのプロジェクトにおいて、チームメンバーを率いるリーダーの役割を担っています。プログラムなどの技術的な知識に加え、プロジェクト管理やチームマネジメント、コミュニケーション能力などさまざまなスキルが求められます。
データ分析で培った高い技術的洞察力を活かし、円滑にプロジェクトを進められる人材として活躍できるでしょう。
フリーランスエンジニアとして独立
機械学習のスペシャリストとして活躍できるようになれば、フリーランスのエンジニアとして独立も視野に入ってきます。やり方によっては、大きく収入アップを目指すことも可能なキャリアパスです。
このようにさまざまな機械学習の知識を活かし、IT業界のより高度な職種へ転職をしてキャリアアップを図ることが可能です。将来性もある仕事のため、ぜひキャリア設計の選択肢として考えてみてはいかがでしょうか?