「動画編集の仕事で稼げるようになったけど、仕事の幅を広げたい!」「動画の企画の部分から携わりたい!」といった方から「動画の経験は全くないけどYouTubeが好きで関わってみたい!」という方までこの記事に見ている方の状況は様々かと思います。
結論からお答えすると動画編集ディレクターになるのに動画編集の経験がなくても挑戦しやすい職業と言えます。多くの企業がHPとあわせて自社のYouTubeチャンネルを開設するようになった今、実際に動画編集ディレクターとして活躍する方の監修の元動画ディレクターという職業を徹底的に解説します。
株式会社Diary 動画編集ディレクター
なかやま しづ
2023年に株式会社Diaryに中途入社。現在登録者10万人のYouTubeチャンネル「キャリアJUMP」動画編集ディレクターとして活躍。 続きを見る
キャリアJUMP編集部
池尻裕登
YouTubeチャンネル登録者数10万人のキャリアメディア。
あらゆる職種を動画と文字コンテンツで徹底解説します。
この記事は実際に動画編集ディレクターとして
働く方に一日密着して作成しています。
動画編集ディレクターとは?活躍できる職場は?
動画編集ディレクターは映像制作において品質を担保するのに欠かせない重要な役割を担っているプロフェッショナルです。実際に映像の編集を主に行うわけではなく、映像コンテンツの制作において品質管理を主な仕事としています。その際編集者やその他クリエイター、監督、クライアントなど制作に関わるほぼ全ての役職と密接にやり取りをし、活躍している非常に重要な役職です。
動画編集ディレクターが活躍している職場は
- YouTubeやTikTokなどのSNSアカウントを運営する会社や企業から依頼されて運営を代行する会社
- テレビ局や映画制作会社
などさまざまです。また、NetflixやAmazon PrimeなどのVODプラットフォームの普及に伴い、多くの企業が優秀な動画編集ディレクターの採用を行っている傾向があります。動画編集ディレクターは、今まさに注目の職業なんです!
動画編集ディレクターの仕事内容は?1日のスケジュールを紹介
ここからは具体的な動画編集ディレクターの仕事内容と、一日のスケジュール感を紹介します。
企画構成案・スケジュールを決める
まず動画編集ディレクターは、プロジェクトの企画立案から行います。企画・構成、シナリオなどをクライアントが満足のいくような状態に仕上げてから、クライアントとの綿密な打ち合わせにより制作スケジュールを決定していきます。自社コンテンツを作り上げる動画編集ディレクターの場合は、クライアントとの交渉はせず独断で企画を立ち上げる場合も多いです。ここでは、動画全体の長さや1シーンごとの尺、出演者のイメージなど詳細に決定していきます。その後も企画を練っていき、プロジェクトの進行に必要な日程を細かく設定するまでが第一段階です。
出演者のキャスティングと撮影場所の確保
企画を練り終わったら、次は映像コンテンツに関わっていく出演者のキャスティングを行います。企画段階からある程度出演者の想定まではしますが、具体的なオファーなどはこの段階で行っていきます。出演者以外にも、編集者やクリエイターなどコンテンツ制作に関わるスタッフのキャスティングや、スタッフやクライアントとの信頼関係を高めるためにこまめな連絡取りも同時に行います。撮影場所の確保はお店や屋外などでの撮影が必要な場合があるため、こうしたアポイントメント取りも動画編集ディレクターが行う場合が多いです。
撮影の立ち会い/出演や当日
いよいよ、映像コンテンツの制作に進んでいきます。撮影には基本的に立ち会っていき、具体的なイメージの共有や修正指示などで品質管理を取り仕切ります。ここではクリエイターたちとの意思疎通が非常に重要で、円滑なコミュニケーションで自分の要望をしっかりと伝えていくことでまとまった作品作りがスムーズに進んでいきます。
編集のディレクション
撮影がひとしきり終わったら、編集の段階に入ります。ここでは複数の編集者(1人の場合もあります)と綿密に確認作業をしていき、納品に向けて方向性を絞ります。締め切りが近づいてくると、ディレクターの仕事は大忙しです。大人数と同時に連絡を取りながら的確なフィードバックをスピーディーに出し、全員の方向性を最後まで一つにまとめる能力が求められます。
この後はクライアントへの納品を行い、クライアントから修正が入ればまた同じように作業工程に入ります。
動画編集ディレクターの1日のスケジュール[ベンチャーの場合]
ここでは、動画編集ディレクターの1日のスケジュールを紹介します。納品までの期間や企画段階によって1日の勤務時間や仕事内容は変わるため、あくまでもとある1日のスケジュールとして参考にしてくださいね。
時間 | 詳細 |
---|---|
9:30 | 出勤 |
9:30-10:00 | 朝会議・オフィスの掃除 |
10:00-11:00 | 責任者との1on1ミーティング |
11:00-13:00 | YouTube撮影 |
13:00-14:00 | ランチ |
14:00-15:00 | インターン生教育 |
15:00-16:00 | 企画書の作成 |
16:00-17:30 | YouTube shortsの撮影 |
17:30-18:30 | 部下とのミーティング |
18:30 | 退勤 |
未経験から動画編集ディレクターになるには?
結論、未経験から動画編集ディレクターを目指すことは十分可能です!動画編集ディレクターには基本特別な資格はいらず、ほとんどの求人では未経験者OKとなっている場合が多いです。しかし、動画編集ディレクターはクリエイティブな職業なため、「全くの素人からは採用されるか不安…。」「採用されても、ついていける自信がない」などと思う方は多いですよね。
確かに、動画編集ディレクターとして通用する具体的な業務経験があると採用の際に有利にはなります。ここからは、そんな動画編集ディレクターで必要とされるスキルに近いものが身に付く職歴や経験、資格などを紹介していきます。紹介する職歴や経験を参考にまずは行動を起こし、未経験からの転職を目指しましょう!
Q.動画ディレクターの仕事はどんな方に向いてますか?
株式会社Diary 動画編集ディレクター
なかやま しづ
若手社会人向けのYouTubeチャンネル「キャリアJUMP」で動画ディレクターを担当しています。ディレクターとして活躍できる人は企画から制作公開まで全ての工程を楽しめる人だと思います。分業することもありますが最終的なPV数や視聴維持率に責任を負う仕事であるため最初から最後まで様々な業務をやる必要があります。そのため毎日違うことをするのが好きな人や新しいことに挑戦する人に向いている仕事だと思います。
動画編集ディレクターに転職しやすい職歴や経験は?
動画編集ディレクターの経験はなかったとしても、以下の経験があれば通用する一定のスキルがあるとみなされ、有利に転職が進む可能性が高いです。
技術職の下積みがあると有利[動画編集者の経験]
動画編集ディレクターの仕事では、現場のクリエイターに対して的確な指示を出すための映像制作に関する幅広い知識と技術が求められます。自らが動画編集の実務経験があれば、編集者やその他クリエイターへの指示出しをスムーズに行えますよね。
動画編集ディレクターの下積みとしても多くの方が動画編集の仕事を行っているため、まずは動画編集者から始めるのが手です。動画編集者は敷居が狭く、企業に入らなくてもフリーターとして始められます。副業として案件を請け負い、徐々に実績を付けていくのがおすすめです。
制作指揮能力が培える[マネジメント経験]
動画編集ディレクターは、制作指揮を取る上でマネジメント能力が欠かせません。制作チームを取りまとめるためのマネジメント能力を磨ける職業として、具体的にはプロジェクト進行や企画運営のリーダーを務めた経験や接客業の店長クラスなどが挙げられます。前職で何か役職を持ち、リーダーシップを発揮した経験をアピールするのがいいでしょう。
動画編集ディレクターに必要なスキル/資格は?
コンテンツの質を高める[企画力や発想力・マーケティング能力]
良い作品を作るためには、企画力や発想力などクリエイティブな思考が行える力も必要です。企画段階から魅力的な作品にするのは、動画編集ディレクターの企画力の強さが非常に重要な要素です。
さらにYouTubeやTikTokなど動画を掲載する媒体によっては流行り廃りが激しく、そうした中でも強いコンテンツを作り続けるためには、最新の流行などを把握する必要があります。
編集者など複数のプロを束ねる[マネジメントスキル]
先程有利になる職歴でマネジメント職を紹介したように、動画編集ディレクターの仕事では編集者への依頼などを頻繁に行う場面があるため、制作に関わる各クリエイターなど複数人のプロフェッショナルを束ねてプロジェクトを進行する能力が非常に求められます。中には自分の腕に絶対的な自信を持った職人気質のクリエイターもおり、そうした人とも信頼関係を築き上げて適切に指示を行えることが、敏腕動画編集ディレクターを構成する重要な要素です。
また、プロジェクトのリスクを最小限に抑えるような配慮をしつつ、問題が発生した際に迅速かつ効果的に対処できる能力もまたマネジメントスキルに含まれます。
このように、動画編集ディレクターのマネジメントスキルはプロジェクトの成功に直結し、映像制作の品質と効率性を向上させるための不可欠な要素です。
的確な指示を出すための[編集ソフトの基本的な知識]
動画編集ディレクターはクリエイティブな職業なため、編集ソフトを自ら扱える基本的な知識を転職時から持っていることが望ましいです。
ソフトによって得意なことやできることが微妙に違うので、編集者によって使用するソフトに違いが出てきます。ディレクターとしてそれぞれのソフトの違いを把握する必要があるため、一つに絞らず主流のものは幅広く勉強をすることが転職活動をする際には必須です。以下に、主に使用されているソフトの特徴をまとめました。
ソフト | 特徴 |
---|---|
Wondershare Filmora | 初心者の方でも簡単に見栄えのある動画を作成可能です。基本的なテキスト編集、多彩なエフェクト素材、オーディオ編集、色調補正、HDRサポートなど搭載しており、高度な編集も直感的に行えます。 |
PowerDirector | 6年連続国内シェアナンバー1の実績豊富なソフトウェアです。テンプレートやタイトル、デザインパックが利用可能で、現在Windows版とMac版ともに無料体験版が使えます。 |
Adobe Premiere Elements | こちらもAdobe社が提供している初心者向けソフトで、フォーマットが決まっているため使いやすさが特徴です。AI技術を活用した写真と動画の整理、自動バックアップも可能で、最新技術が詰まっています。 |
Adobe Premiere Pro | Adobe社が提供するプロ向けの高度な機能が利用できます。多様な映像素材を編集可能で、複数の動画をつなぎ合わせるのが得意なソフトです。動画編集ディレクターを目指すならチェックしておきましょう。 |
adobe After Effects CC | Adobe社が提供するプロ向けの高度な機能が搭載されていますが、Adobe Premiere Proとの違いは、より単体の動画素材の編集に優れている点です。エフェクトの種類が豊富で、テキストや演出の編集が便利です。 |
iMovie | Apple社が提供している無料の動画編集ソフトで、MacOSとiOSに特化しており初心者でも簡単に操作可能です。基本的な編集タスクが容易に実行可能です。MacOSとiOS間で連携が可能で、端末の使い分けも出来ます。 |
動画編集ディレクターに必要なスキルは?
株式会社Diary 動画編集ディレクター
なかやま しづ
ディレクターとして必要なスキルは様々ありますが3つだけ挙げるとするならば「営業力」「コミュニケーション力」「国語力」だと思います。
ディレクターは制作する動画と向き合うと同時に出演者や相対する企業の担当者、アシスタントや編集者などいろいろな人と向き合い指示を出しながら自分の頭の中にある完成物を作り上げていきます。時には意見の食い違いが生じる場面もありますが自分の中にある正解を追求することで完成物のクオリティーを担保する必要があるので対人関係を良好に且つ前に進めるため営業力とコミュニケーション力が必須です。
またディレクションではより分かりやすく、そして面白く伝わる動画を作るために構成を考えたり不要なものを削ぎ落としたりすることが重要です。その際に国語力が活きると感じています。
高度な映像作品作りに必要な[カメラや機材の専門知識]
動画編集ディレクターの仕事を行う上で、より高度な撮影になると必要になるのがこのカメラや機材など、PC以外の機材に関する専門知識です。編集がどんなにうまくても素材が微妙では、リカバリーが効きませんよね。そんな素材からこだわった映像作品を作り上げるには、使用する機材まで的確に指示を出せるディレクターが求められています。
動画編集ディレクターに向いてる人は?
動画編集ディレクターに求められるスキルを紹介しましたが、未経験者の場合現時点でこれらを持っていることはなかなかできないですよね。ここからは、動画編集ディレクターに向いている人・素質を持っている人を紹介します。
細かいところまで気を配れる人
人に対しても動画に対しても、細かいところまで気を配れる人は動画編集ディレクターに向いています。多くの人と関わるこの仕事ではコミュニケーションが非常に重要で、早く正確なレスポンスの他に現場の雰囲気を良い雰囲気に保つ人間関係の構築ができることも求められます。人を褒めることに長けている人も、現場のモチベーションを高められる人材として重宝されるでしょう。
さらに良い映像コンテンツを作るためには、ディレクター自身が細かいところにしっかりと気を配ってこだわる必要があります。細部までこだわってディレクションを行ったりクリエイターのこだわりに気づけたりできる人材がディレクターになれば、クオリティが求められる現場で全員が生き生きと働けるでしょう。
知的好奇心・探究心が強い人
動画コンテンツは新しい技術や流行りの表現などが日々更新されるため、知的好奇心や探究心が強い人が向いています。さまざまな最新情報への感度を高く持ち、すぐに取り入れてみようといった姿勢を持つ人材が、面白いコンテンツを作り続けられる人の共通点です。
動画編集ディレクターのキャリアプランは?
今まではテレビや映画が映像作品の中心でしたが、近年はインターネットの成長により動画編集ディレクターの活躍の場がどんどん広がってます。また多くの企業が自社の宣伝のためにYouTubeチャンネルやTikTokアカウントを開設する時代になっており、確かな実績があるとそういったアカウントの立ち上げをお願いされるケース増えています。他には、以下のような職種へのキャリアプランの道も広がっています。
動画編集ディレクターのよくある質問をQ&Aで紹介
最後に、動画編集ディレクターについてよくある疑問と、それに関する返答をまとめました。
Q:動画編集者と動画ディレクターの違いは?
こちらの画像では、映像コンテンツが完成するまでの工程とそれぞれがどこまで関わるのかを図式しました。簡単にまとめると、動画編集ディレクターはコンテンツ制作の全てに携わっているのが特徴で、動画編集者は実際の編集作業に携わる職人という特徴があります。動画編集者は文字通り動画の編集のみを行っている場合が多く、企画構成は別のクリエイターが行っています。
Q:動画編集はできなくてもいい?
結論、必ずしもできる必要はありません。しかし先程紹介したように、ディレクターは編集者に指示を出す立場のため勉強は必須です。指導を行う上でお互いが気持ちよく仕事を行えるように、最低限編集の知識を身につけておくのが望ましいです。
Q.動画ディレクターとして今後極めたいスキルは?
株式会社Diary 動画編集ディレクター
なかやま しづ
今後は行動経済学や心理学を学び動画制作に活かしていきたいと考えています。撮影後のディレクションや編集スキルも非常に大事ですが、面白い動画になるかどうかは撮影前の準備と撮影素材にかかっていると思います。行動経済学を学ぶことで「なぜこの動画が視聴者の心を動かせるか?」の説明ができる構成を考えられるようにし、また心理学を学ぶことで出演者の魅力を引き出す取材ができるようになればと思っています。
Q:フリーランス(独立)しやすい?
独立することは可能です。まず動画編集ディレクターとしてフリーランスになるためには、いきなりでは難しいです。数年の間は、映像制作の知識と基本スキルを身につけるために企業でディレクターの業務経験を積むことが重要です。数年の実務経験を終えた後は、そこでできた人脈も活かしてフリーランスとして独立し、案件を受けることができます。
案件の獲得に際して、フリーランス専門のエージェントサービスに登録するのがおすすめです。クライアントとのマッチングをある程度任せることができるため、独自で仕事を探したり個人で営業活動を行ったりする労力が省けて便利です。