キャリアJUMPは、あらゆる職業について徹底解説するいわば『職業図鑑』です。この記事で紹介する商品企画は、市場の動向や消費者のニーズを基に新商品を提案・実現する仕事です。この記事では、そんな商品企画のお仕事を紹介いたします。
商品企画とは？
商品企画の主な仕事内容は、商品のコンセプト作成やデザインの決定、製造やマーケティング戦略の策定などが含まれます。この職種では、市場の変動に柔軟に対応し、多様な部門との連携が求められます。
商品企画と一言に言っても、商品開発部門は幅広い業界の企業に多く存在しています。そのため一般的なメーカーだけでなく、サービス業やIT業界、旅行会社などでも自社のあらゆる商品を作り出しています。
商品企画の仕事は、自らのアイディアが実際の商品として市場に出る達成感や、時代のトレンドを先取りする刺激的な経験、さらには多岐にわたる部門との協力を通じて幅広い知識を獲得できる点で人気の職種です。
商品企画の仕事の流れ
商品企画の仕事は、市場のニーズを具体的な商品として形にするまでの一連の流れを担当しています。
・市場調査とトレンド分析
まずは、市場の動向や消費者のニーズを調査するところから始まります。既存の商品の分析や消費者の反応を的確にデータ分析し、今求められているものは何なのかを熟考します。展示会などにも足を運び、他企業の技術力や動向を探るのも仕事の一つです。
・商品コンセプトの策定
市場調査の結果を基に、新しい商品のコンセプトを策定します。これは、商品の方向性や目指すべき価値を明確にするための重要なステップです。
・商品開発とデザイン
商品のコンセプトが決まったら、具体的な商品の開発とデザインを行います。商品企画の職種がどこまでの工程に介入するかは企業によって異なりますが、ここでは原材料や製造方法、デザインの詳細も決定します。さまざまな分野での研究が必要になる、非常に重要な段階です。
・市場投入とフィードバック収集
いよいよ商品が完成したら、市場に投入します。そして消費者からのフィードバックを収集し、商品の改善や次回の商品企画に活かします。
・既存商品のリニューアル・改良の企画策定
商品企画では、新規の商品だけでなく既存の商品のリニューアルや改良に向けた企画策定を行うこともよくあります。主に消費者からのフィードバックやデータを数字で見て問題点を洗い出し、より良い商品にするための手を企画します。
商品企画の平均年収
商品企画の年収は企業の規模や形態によってもばらつきがありますが、400～600万円のあたりに落ち着いています。商品企画はある程度その業界で経験を積んでから携われる職業のため、平均した年収は高い水準になっています。
商品企画は未経験でも挑戦できる？
結論から言うと、商品企画は企業の中核を担う重要なポジションのため、キャリア採用を目指すのは簡単ではありません。募集自体が少なく、同じ業界で経験を積んだ即戦力の人材が優先的に採用される傾向があります。
しかし、必ずしも同じ業界で経験を積んでいる必要はありません。商品企画に求められるスキルは幅広いため、自身の職歴の中で商品企画に関連する経験や活かせる強みがきちんとアピールできれば、採用のチャンスは十分にあります。
商品企画で有利になる職歴
・マーケティングやブランド戦略の経験
これらの職種での経験があると、市場の動向や消費者のニーズを理解して商品の方向性を決定する能力を持っていることをアピールできます。この職歴は商品企画の初期段階での市場分析やターゲット設定に直接役立つため、即戦力としての採用が十分見込まれます。
・営業職
これらの職種では、コミュニケーション能力やプレゼン能力をアピールできます。また顧客との直接のやり取りを通じて市場の動向や顧客の要望を直接把握できるスキルがあるため、商品の企画段階での市場のニーズを分析をする上で有利です。
・アパレルなどでのバイヤー経験
バイヤーとしてさまざまな商品を選定して店舗に取り入れてきた経験は、商品企画で求められる分析力や判断力、交渉力などのスキルを存分に発揮できるでしょう。
商品企画に向いている人の特徴
・市場の動向やトレンドに敏感な人
市場の動向や消費者のニーズは、常に変化していきます。商品企画の仕事ではそんな市場の流れをキャッチアップすることが求められるため、元ある商品にこだわり過ぎずにトレンドに敏感になって、新しい情報を迅速に取り入れることができる人材が求められています。
・クリエイティブな思考を持つ人
商品開発では、新しい商品のアイディアを生み出すためのクリエイティブな思考が必要です。ただトレンドを取り入れるだけでは、他の企業との差別化が難しいためです。斬新なアイデアがポンポンと浮かぶ人、時には違う角度から物事を見られる人が向いています。
・計画的に物事を進めることが得意な人
商品企画の仕事は、商品を市場に投入するまで非常に多くの工程があります。納期に合わせて動く必要があるため、計画的に物事を進めることが得意な人が向いています。
商品企画は、市場のニーズを具体的な商品として形にする魅力的な仕事です。その過程で得られる達成感や自分のアイディアが形になる喜びは、他の仕事では味わえないものです。興味を持った方は、ぜひこの分野に挑戦してみてください。
商品企画に必要・活かせる資格
商品企画の仕事に特定の資格が必須というわけではありませんが、以下のような資格を持っていると、業務に役立つことが多いです。
・マーケティング検定
マーケティングの基本的な知識やスキルを証明する資格です。消費者のニーズを的確に捉え、効果的な商品企画を行うための知識が身につきます。
・商品開発士
商品開発士は、市場の視点で商品を評価して新商品の開発や改良、マーケティングを担当する専門家です。商品企画の基本知識や法務知識、広報・広告の知識などが問われるため、商品企画の仕事には役立ちます。
・商品プランナー
商品プランナーは、ブランドのターゲット客層や価格設定、ブランドイメージの策定、市場調査や流行の分析を通じて商品を企画する能力が問われる資格です。商品企画の業務は商品や企業によって異なりますが、関連資格を持っていると転職時に有利でしょう。
また、商品開発の部門が置かれている企業は業界問わずさまざまなため、ITパスポートやデザイン関連の専門資格など、その業界に適した専門性の高い資格保持者が優遇される場合もあります。
商品開発やマーケティングとの違い
商品企画が新しい商品のアイディアやコンセプトを提案する仕事なのに対し、商品開発はその企画を基に実際の商品を作成する仕事です。特にモノを生産するメーカーでは、企画したものをしっかりと商品として形に残さないといけないため役割が明確に分けられています。両者は密接に連携しており、良い商品を生み出すため時に協力し、時にはぶつかり合いながら商品を作るいい関係と言えます。
マーケティングとの違いですが、商品企画は特定の商品の提案や開発に焦点を当てるのに対し、マーケティングは商品全体の販売戦略や広告活動を中心に考えています。一部の企業ではこれらの役割が一緒になっていることもありますが、多くの場合、生産と販売の役割は別々に管理されています。
商品企画のキャリアパス
商品企画の経験を積むことで、以下のようなキャリアパスが考えられます。
・商品開発部門のリーダーやマネージャーへの昇進
実績や経験を積むことで、商品開発部門のリーダーやマネージャーとしてチームや部署を率いるポジションに昇進することが可能です。
・ブランドマネージャーとしてのステップアップ
商品企画だけでなく、ブランド全体の戦略やマーケティング活動を担当するブランドマネージャーとしてのキャリアも考えられます。企業全体の利益を考慮して、よりバランスよく動くスキルが必要になります。
・独立・起業をする
自らのアイディアやコンセプトで、新しいブランドや商品を立ち上げることも可能です。独立・起業することで、チームとしてではなく自分が中心となってやりたいことを形にできるチャンスが増えます。
商品企画に関連する仕事もチェック！
・商品デザイナー
商品開発には欠かせない、デザインや形状を考える専門家です。商品企画と密接に連携し、消費者のニーズやトレンドを反映した商品デザインを提案しています。
・SNSマーケター
企業のブランドイメージと価値を広く一般に伝えるためにTwitterやInstagram、YouTubeなどさまざまなSNSプラットフォームを通じてマーケティングを行う仕事です。市場の動向や消費者のニーズを調査する専門家で、商品企画の初期段階での市場調査やトレンド分析をサポートします。
・バイヤー
バイヤーは、商品の選定や仕入れを担当する専門家です。市場のトレンドや消費者のニーズを分析し、適切な商品を選び出して店舗や企業に供給しています。また、仕入れ先との交渉や価格設定、在庫管理も重要な業務です。バイヤーは、商品の品質やコストパフォーマンスを常に考慮しながら、消費者に魅力的な商品を提供するための選定を行う役割を果たしています。
