キャリアJUMPは、あらゆる職業について徹底解説するいわば『職業図鑑』です。この記事で紹介するカーディーラーは、自動車メーカーが直営する販売店や自動車メーカーと契約を結んだ正規販売店のことです。この記事では、そんなカーディーラーの主に営業職のお仕事を紹介いたします。
カーディーラーとは?
カーディーラーとは、主にトヨタや日産などの自動車メーカーから車を仕入れ、来店する顧客に直接販売する役割を担っています。カーディーラーにはいくつかの種類があるため、ここでいくつか紹介します。
正規ディーラーの中でも、さらに以下の2種類に分けられます。
メーカー直営ディーラー
各メーカーが直接経営する店舗で、メーカーの経営・営業方針に沿った運営を行っています。
地域ディーラー
地域に根差した企業が運営する店舗で、メーカーと特約店契約を結んで地域密着型のサービスを提供しています。
カーディーラーには3つの職種がある
カーディーラーとは販売店のことなので、その店舗で働く従業員にはそれぞれ別の名称があります。この記事では、主に最も一般的である営業職を取り扱っていきます。
カーディーラー営業の仕事内容
カーディーラーの営業職は基本的に店舗に来店した顧客に向けて営業を行いますが、ここではとある顧客に車を販売するまでの流れに沿って、仕事内容を紹介します。
来店した顧客に対する営業・ヒアリング
顧客が来店した際には声掛けを行って席へ案内し、来店の目的を確認します。雑談を交えて接客していく中でお客様の要望、気になる点、問題点を詳細にヒアリングしていき、潜在的なニーズを探るのが仕事です。その中で使用する場面や予算、スペックなどあらゆるポイントに目星をつけ、顧客が本当に探している自動車を提案します。
試乗の提供
顧客とのヒアリングの中からいくつか目星をつけたら、実際に販売店にある多様な車種を試乗を提案し、各車の特性や技術を体感してもらいます。試乗の際の声掛けやサービスが、顧客の購入意欲を刺激するためにはとても重要になってきます。
車種を絞ってサービスの提案
ある程度絞れてきた中から、顧客のニーズに基づいていよいよ最適な自動車を提案します。購入プランやオプション、保険などの具体的な話に移行していきます。顧客によっては一旦話を持ち帰ることもありますが、契約に繋がるよう当日は最後まで丁寧に接客を行います。
契約と納車・アフターサービス
無事顧客が購入を決定した後は、契約手続きを進めて納車に向けた準備を行います。さらに納車後は、定期的な点検や車検などのアフターサービスを提供し、快適なカーライフ送れるようサポートします。
カーディーラー営業は未経験からでもなれる?
結論から言うと、未経験でもカーディーラー営業になることは十分可能です。自動車という単価の高い商品を販売するためには、自動車の基本的な知識とコミュニケーション力などが必要とされますが、普通自動車免許以外の特別な資格は必須ではありません。営業職は、基本的にどの業界でも採用人数が多く、志望動機ややる気が固められれば、未経験からの転職は比較的容易でしょう。
カーディーラー営業になるためのロードマップ
ここでは、カーディーラー営業に転職するために有利なスキルや経験をまとめました。
これらを1つでも持っていれば、採用面接時でのアピールにより転職は可能でしょう。車の購入は顧客にとって高額な決断であるため、信頼関係の構築ができる最低限のマナーやコミュニケーション能力が求められます。
さらに車や運転に対する情熱や知識があると、面接時には大きなアピールポイントとなり得ます。転職の難易度は高くないため、自動車業界への興味や意欲を前面に出して挑戦しましょう!
一般職に関しては同じ手順で転職が目指せますが、自動車整備職に関しては、技術職の職歴や専門の資格などを持っておくとスムーズな転職が叶うでしょう。
カーディーラー営業に役立つ資格
資格・勉強 | 説明 |
---|---|
普通自動車免許 | 基本的な自動車に関する知識がアピール他、顧客宅への車両の配送や引き取り時に必要なためほぼ必須です。MT車の運転が可能であればさらに便利です。 |
中古自動車査定士技能検定 | 中古車ディーラーでの査定業務に有利ですが、資格取得には運転免許保有、自動車の販売・整備経験半年以上、所定の研修修了が必要と難易度は高いです。 |
損保一般試験 | 車の販売時には、保険に関する提案をするために資格が必須。更新制(5年)のため、カーディーラー営業になった後も勉強が必要です。 |
2級自動車整備士 | 自動車整備の専門知識・技術を証明でき、整備士を目指すなら必須の資格です。実務経験後に取得可能で、営業職の場合でも顧客の信頼獲得に繋がるためおすすめです。 |
特殊自動車整備士 | 電気装置や車体、タイヤの高度な整備能力など専門的な技術が身につけられ、実務経験後に取得可能です。 |
これらの資格は、カーディーラー営業職に限らず整備士において役立つ資格です。カーディーラーで取り組む業務は専門性が高く、顧客の信頼を勝ち取るためにも、1つでも2つでも入社後に取得する努力をすることが大切です。
ブラック?やりがいとデメリットを紹介
カーディーラーについて調べると、「きつい」「ブラック」と言われていることが多いですよね。こういわれているのは本当なのか、それぞれメリットとデメリットを並べて見ました。
カーディーラー営業のやりがい
カーディーラー営業の最大のやりがいは、顧客のカーライフを豊かにできることにあります。顧客が理想とする車を見つけ、一大イベントである購入の瞬間を共有できることは大きなやりがいです。また、顧客とは継続的な関係を築くため、定期的なメンテナンスや次の車選びの際には顔見知りになっており、信頼を寄せてもらえることも大きな喜びです。
また、インセンティブ報酬制であれば、車の販売数(成果)に応じて月収が上がるため、経験に関係なく成果を出せば出すほど給与も上がるのがカーディーラー営業の大きなメリットです。
カーディーラー営業のデメリット
一方でカーディーラー営業にはいくつかのデメリットも存在します。特に販売ノルマがある場合、その達成に向けたプレッシャーは常に伴ってきます。また、顧客が多い時期は長時間労働になることも少なくなく、プライベートの時間が取りづらくなることもあります。
さらに、顧客とのトラブルや不満を直接受け止める必要があるため、精神的なストレスも伴ってしまいます。車という高価な商品を扱うため、購入後のクレームに真摯に向かうことがどうしても求められます。
「ブラック」と言われる理由
先程紹介したデメリットが原因となり、カーディーラー営業が「ブラック」と言われることもあります。これは特に、厳しいノルマを達成するには、長時間労働が常態化しているディーラーが少なくない現状によるものです。どうしても土日や祝日は顧客の来店が多く、土日出勤や休日出勤が多くなってしまうのもそう言われる原因です。
また、顧客の要望に応えるためには早朝や遅い時間まで対応することもあり、ワークライフバランスが崩れやすい環境にあると言えます。ただしこれは職場によって異なり、働きやすい環境を提供しているディーラーも多く存在します。
カーディーラーからのキャリアパス
カーディーラーでは確かに定着率がそこまで高くなく、カーディーラー1本でキャリアを終えることは少ないです。ここからは、カーディーラー営業での経験やスキルを活かしたキャリアの歩み方や転職先をいくつか紹介します。
営業職への転職が目立ちました。自動車に触れあっていく中で身につけた知識を活かす自動車業界での道はもちろん、単価の高い商材を売り込めるトーク力を活かしたさまざまな業界での営業職での活躍が期待できます。さらに培ったスキルの専門性を高めたい場合は、自動車整備士や損害保険の資格を取得し、より技術的な分野に進むこともできます。