美術スタッフの仕事内容は?未経験からの転職方法や必要なスキルを徹底解説

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キャリアJUMPはあらゆる職業について徹底解説する『職業図鑑』です。この記事で紹介する美術スタッフは、映画やテレビ、舞台などのセットや小道具を作り、作品の世界観を具体化する技術者です。この記事では、そんな美術スタッフのお仕事を紹介いたします。

美術スタッフってどんな仕事?

美術スタッフの仕事は、映像や舞台芸術などにおいて世界観を創り出すために欠かせない、舞台装置や小道具、街並みなどのセットを作成する重要な役割を担っています。メディアの世界観やニーズによって美術スタッフの役割は非常に細分化されていて、それぞれの領域で特有のスキルと知識が求められる仕事です。

また近年ではCG技術が発達しており、より複雑で専門性の高いスキルが求められる傾向にあります。

美術スタッフの種類と仕事内容

美術スタッフの仕事はスピード感が大事のため、仕事を細かく役割分担をして集中的に行っています。それぞれの専門性を生かして、チーム内で協力しながら迅速に進められています。ここでは、その中でも一般的な分類を紹介します。

美術監督

美術監督は、作品のビジュアル面を統括し、セットや小道具のデザイン、配置、予算管理までを一手に担う責任者です。例えば、テレビ番組の場合はプロデューサーと密に連携し、番組のコンセプトに合わせたセットデザインを行います。映画の場合はシナリオの解釈から始まり、映画監督と協力しながら撮影に最適なロケーションやセットを選定し、視覚的な物語の展開に貢献します。多くのスタッフに指示を出す立場のため、美術に関するセンスが非常に求められます。

美術デザイナー

美術デザイナーは、台本や脚本に合ったデザインを考え、図面に起こすポジションです。安全性や耐久性、予算を考慮しながら、作品の雰囲気に合ったデザインを提案するため、資料集めや分析をじっくりと行う必要があります。

装飾スタッフ

セット内の細部にまで目を配って、小道具や衣装、メイクを通じてキャラクターやシーンのムードを作り出すのが装飾スタッフです。さらに、衣装スタッフやメイクスタッフもこれに分類されます。それぞれがキャラクターの個性を表現するための衣装をデザイン・調達し、ドラマや映画の世界観に沿ったスタイリングを行っています。

大道具・小道具

小道具は、物語の中でキャラクターが使用する食べ物や家具、書籍、武器などを準備する役割を担います。脚本の細かい部分にも注意を払い、リアルな舞台やセットを作り上げるために必要なアイテムを用意しています。

また大道具は、セットの大部分を占める背景や街並みなどの制作を行います。舞台の場合は、舞台装置の設計から実際の構築まで、観客が物語に没入できるようなセットを作り出すことが求められます。

美術スタッフになる方法

美術スタッフになるために特定の資格や試験は必要ありません経験と技術が重視される業界のため、まずは見習いやアシスタントとして現場に入り、実務経験を通じて徐々にスキルを磨いていくのが一般的です。未経験者歓迎や学歴不問の求人から応募してみましょう。

ただし、美術に関わりのない人がいきなり現場に入っても、活躍できるまでには時間がかかるのが現状です。大学や専門学校でデッサンや制作を学んでおくのが望ましいです。一人前になるまでに多くの挑戦と努力が求められるため、美術スタッフとして成功するためには強い意志と継続する覚悟が不可欠です。

専門学校と大学、どっちがいい?

美術スタッフとしての教育を受ける場合、美術系の専門学校や美術大学が選択肢となりますよね。専門学校は実践的なスキルを短期間で学ぶことができ、多くは就職を強く意識したカリキュラムが組まれています。在学中から現場研修や就職サポートが受けられるため、すでに大学を卒業している社会人におすすめです。

一方で、美術大学では4年間をかけて美術の基礎から応用まで幅広く学ぶことができ、一般教養も深めることが可能です。ただし、美大入学のためには長時間勉強が必要なので、時間と金銭的余裕がないと厳しいでしょう。

しかし美術スタッフは経験重視のため、学歴は関係ありません。費用と年数を節約するなら、専門学校で知識を身につけるのがおすすめです。

美術スタッフの就職先・活躍の場

美術スタッフの就職先は多岐に渡っており、さまざまな現場で活躍しています。ここでは、美術スタッフのいる代表的な就職先を紹介します。

テレビ・映画・舞台関連会社など芸能関連

美術スタッフは、テレビ局の関連子会社や映画制作会社、舞台制作会社など多様なメディア関連の企業で活躍しています。テレビでは「日本テレビアート」や「TBSアクト」など、各局に関連した美術子会社があり、映画では「東宝映像美術」のような専門企業があります。

美術制作専門会社

美術専門の制作会社では、舞台装置やイベント会場、展示施設など幅広い空間の美術を手掛けます。これらの企業は、特定のメディアに限定されずさまざまなプロジェクトに関わる機会があり、美術スタッフとしてのスキルを広範囲に渡って発揮することが可能です。

撮影スタジオ・劇場運営会社

撮影スタジオや劇場を運営する企業も、美術スタッフにとって重要な就職先です。これらの施設では、日々の撮影や公演において舞台装置やセットの構築・管理を行います。直接的な現場経験を積むことで、美術スタッフとしての実務能力を高めてキャリアアップを目指せます。また、美術専門の制作会社と比べると実際の公演や撮影の現場に近い環境で働くことができるため、実践的なスキルを磨く絶好の機会です。

美術スタッフに求められるスキルとは?

美術スタッフは、短い期間の中大人数で集中的に取り組むハードな仕事です。向き不向きが分かれるだけでなく、多くのスキルが要求されます。ここで、自分に美術スタッフは向いているのかを確認してみましょう。

イメージを具現化できる創造力

美術スタッフには、作品の世界観や雰囲気を具現化するための豊かな創造力が不可欠です。その仕事の多くは自分で0からデザインする訳でなく、舞台監督や演出家からの大まかなイメージをもとに製作します。イメージを共有して擦り合わせ、満足のいくものを作れるセンスが問われます。

もちろんイメージの具現化のためには、絵や設計図の作成、工作、さらにはCG技術などの活用スキルが必要不可欠です。美術関連の学校できちんと美術のイロハを学び、引き出しを増やしましょう。

連携の取れるコミュニケーション能力

美術スタッフの仕事では、プロジェクトに関わる様々な立場の人々と連携し、意見やアイデアを交換しながら仕事を進める必要があります。コミュニケーションを通じて自分のビジョンをしっかりと共有し、同時に他者の意図を汲み取る力が必要になります。

CG技術の知識があるとより良い

近年美術スタッフには、従来の手法に加えて最新CG技術などのデジタルツールを駆使する能力が求められています。これは特に映画やアニメの制作において顕著で、リアルでは実現が難しい壮大な景色や複雑な特殊効果を映像に取り入れることができます。

美術スタッフのキャリアパス

美術スタッフとしてのキャリアを積むには、以下のようなルートが多いです。

まずは美術助手としてスタート

美術助手には未経験者歓迎の求人が多く、基本的な美術技術や現場での作業流れを学ぶ機会があることから、最初のステップとして多くの方が美術助手から始めています。美術助手は、主に先輩スタッフの指示に従い、セットの準備や小道具の整理など基本的な作業を行います。ここで多くのことを吸収し、言われたこと+αのことがこなせるようになれば、次のステップに進める頃でしょう。

美術監督を目指す人が多い

美術監督は、プロジェクト全体の美術面を統括する役割を担う、美術スタッフの上流工程の仕事です。昇格すると、より大きな権限と責任を持って作品全体のビジュアルコンセプトの策定やセットデザイン、小道具の選定など全体的な美術ディレクションが行えるようになります。まずこの美術監督を目指す人が多いです。

別の業界への転職も選択肢の一つ

美術スタッフは、プロジェクト優先で働くハードな職業です。そんな目まぐるしい生活から、一変して、別の業界で働きたいと思うようになる人も少なくありません。ここでは、美術スタッフからの転職先としてよくある業界をまとめました。

美術スタッフからの転職先によくある業界

・広告業界
・アパレル業界
・建築業界
・デザイン業界
・ゲーム業界
・予備校・美大など教育業界

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