キャリアJUMPは、あらゆる職業について徹底解説するいわば『職業図鑑』です。この記事で紹介するITコンサルタントは、ITを活用して企業や組織の課題解決を手助けする専門家です。この記事では、そんなITコンサルタントのお仕事を紹介いたします。
ITコンサルタントとは
ITコンサルタントは、技術的なITの知識とビジネスの視点を併せ持ち、企業などクライアントの課題を解決するための最適なITソリューションを提案しています。現代の企業経営においてITの活用は不可欠で案件単価も高いため、ITコンサルタントは今後も注目で人気の職業です。
ITコンサルタントの仕事内容
・現状のヒアリングと経営課題の調査
ITコンサルタントの業務は、まず顧客企業の経営者やIT部門の責任者との面談から始まります。ここで現在のIT環境や経営課題、期待する成果などを詳細にヒアリングします。しかし、真の経営課題は顧客自身が認識していない場合も多いため、ヒアリングの結果を元に独自の調査や分析を行って深層の課題を洗い出します。
・解決方法の選定と提案
課題が明確になったら、その解決のためのITソリューションを考案します。これには、既存のパッケージソフトウェアの導入やクラウドサービスの活用、カスタム開発など、企業によってさまざまな引き出しがあります。そして、その中から最適な解決策を経営層や関連部門に提案します。この際に、企業は高いコストを支払うため、これらの施策が本当に会社にとって大きなメリットをもたらすのかを的確なデータ等を用いてプレゼンする力が求められます。
・システム導入の指揮と管理
提案が承認されたら、いよいよ実際のシステム導入や開発プロジェクトが始まります。ITコンサルタントのここでの仕事は、プロジェクトの全体を監督して進捗管理や品質管理です。プロジェクトのリーダーやマネージャーと連携して、クライアントとのコミュニケーションを密に取って寄り添いながらプロジェクトを進めます。
ITコンサルタントの平均年収は?
ITコンサルタントの平均年収は経験やスキル、所属する企業の規模などによって大きく変わりますが、一般的に大手のコンサルティングファームやIT企業での給与は日本の平均水準を大きく上回る高収入であると言えます。初任給の平均は約400万円〜600万円、経験者(5年以上)の場合は600~800万円程度が目安となります。成果報酬型を取っている企業も多く、いい成績を収めている方の場合はさらなる高収入が期待できるため1000万円以上を得ている人も多くいます。
ITコンサルタントは未経験からでもなれるの?
結論、ITコンサルタントへの転職は未経験者でも十分可能です。もちろん、ITコンサルタントとしての具体的な業務経験があると採用の際に有利にはなりますが、必ずしも経験者でなければいけない訳ではありません。実際に多くの企業では、20代中盤あたりまでのポテンシャル採用をしています。自分の秘めているスキルや素質を上手くアピールすることで、ITコンサルタントに転職する道が開けていきます。それ以上の年齢の方はなんらかの専門的なスキルや職歴をアピールすることがある程度求められますが、それについては後述します。
まとめると、未経験からITコンサルタントになるためには自身の持つスキルや経験を適切にアピールし、学び続ける姿勢を持つことが重要です。
ITコンサルタントに有利な職歴
・プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャー
これらの経験は、プロジェクトの全体的な進行管理やチームのリーダーシップ、ステークホルダーとのコミュニケーション能力が培われるとして有利に働くでしょう。このような役職での経験を持つ人材は、ITコンサルタントとしてのプロジェクトの取りまとめ能力や顧客との関係構築能力が高いと評価されます。
・スーパーバイザーや店長などの業務改善や経営マネジメント
スーパーバイザーや店長などの業務改善や経営マネジメントの経験は、企業の課題を深く理解して具体的な解決策を提案し実行するコンサルタントと通じるところが多くあります。ITコンサルタントとしての課題解決能力や戦略的思考力が高いと評価され、有利に働くでしょう。
・営業職の経験
営業職での経験は、顧客のニーズを正確に捉えてそれに基づいた提案やプレゼンテーションを行う能力が養われます。またコンペでの受注経験や交渉力も身につけられるため、ITコンサルタントとしての提案力や顧客とのコミュニケーション能力が高いと評価されます。
ITコンサルタントに向いている人
・論理的思考力のある人
ITコンサルタントは問題解決のための多様なスキルを持つ必要があり、その基盤となるのが論理的思考力です。筋の通った論理的な解決策をクライアントに提示するために、日常生活でも物事を構造的に考えられる人材が求められています。
・コミュニケーション力の高い人
プロジェクトを進める上で、クライアントやチームメンバーとの円滑なコミュニケーションが不可欠です。相手との関係構築や意見の共有、調整などで上手く立ち回れるコミュニケーションが求められます。
・体力・精神力のある人
コンサルタントの仕事はクライアントを第一に考えてスケジューリングを行うため、体力的や精神的に負担がかかることが多々あります。これに耐えうる体力と精神力があることは、過去の経験を通じて困難な状況をどのように乗り越えてきたかをアピールすることが重要です。
必要な資格・有利な資格
・中小企業診断士試験
中小企業診断士試験は、中小企業の経営課題へ取り組む能力が証明できる国家資格で、取得すると経営コンサルタントとしてのスキルが培われます。ITと直接関連はしませんが、財務や労務、事務、生産などの経営全般に関する知識を習得できます。
・ITコーディネータ試験
ITコーディネータ試験は、ITを活用した経営戦略の実現をサポートする「ITコーディネータ(ITC)」の認定を目的とした民間資格です。この資格は経営とITの双方の知識を習得することができ、ITコンサルタントの業務に深く関連しているため取得がおすすめです。
・ITストラテジスト試験
ITストラテジスト試験はIPAが実施する情報処理技術者試験の一部で、ITコンサルタントに注力した試験です。経営戦略に基づくIT戦略の策定やITを活用した事業の革新や業務改革、さらには新しい製品やサービスの企画・推進などITコンサルタントに関する知識を習得することができます。
ITコンサルタントのキャリアパス
社内で昇進して管理職に就く
ITコンサルタントとして社内で経験を重ねることで、マネージャーやパートナーなど管理職として昇格することが可能です。この道を選ぶ場合、地道に経験を積み重ねることで、社内でのキャリアアップを目指すことができます。特に、40歳前後までにパートナークラスへ昇格するためには、プレイヤーとして好成績を上げる必要があります。
・他のコンサルティング会社へ転職する
コンサルティングの業界は多岐にわたり、戦略系から財務系やIT・業務、シンクタンク系など様々な分野が存在します。営業力の高いITコンサルタントは、他のコンサルティングファームやシステムインテグレーターからのオファーを受けることが多いため、外資系のコンサル会社などに転職してより高い報酬を得る道があります。
・独立または起業する
ITコンサルタントとして一定の経験とネットワークを築いた後は、独立してフリーランスのITコンサルタントとして活動するか、自らのコンサルティングファームやIT関連のスタートアップを設立することも一つのキャリアパスです。このルートを選ぶことで、自らのビジョンや価値観に基づいたサービスを提供する自由が得られますが、ビジネスの運営や経営に関する高い知識とスキルが必要となります。
ITコンサルタントに関連する職種もチェック!
・戦略コンサルタント
戦略コンサルタントは、企業の経営層に対して中長期的な経営戦略の策定や実行をサポートする専門家です。市場の動向や競合状況を分析し、企業の強みや弱みを考慮して最適な戦略を提案します。また、新市場の機会の特定や合併・買収の評価といった成長戦略のサポートも行います。
・M&Aコンサルタント
M&Aコンサルタントは、企業の合併や買収(M&A)のプロセスをサポートする専門家です。企業の成長戦略の一環として、他の企業を買収する際や自社が買収される際にアドバイスを提供します。市場の動向や企業の価値評価、取引の交渉戦略などを分析・策定し、M&Aが成功に結びつくようサポートするコンサルタントです。高度な金融知識と交渉スキルを持ち、企業の価値を最大化するための戦略的アドバイスを行います。
・システムエンジニア (SE)
システムエンジニアは、顧客の要求に基づいてシステムの設計や開発を行う専門家です。ITコンサルタントが提案したシステムの実装や運用を担当することが多いです。
これらの職種は、ITコンサルタントと密接に関連しており、多くのプロジェクトでは連携して業務を進めることが一般的です。