キャリアJUMPは、あらゆる職業について徹底解説するいわば『職業図鑑』です。この記事で紹介する戦略コンサルタントは、クライアントの中長期の経営戦略や事業戦略を打ち立ててサポートする仕事です。この記事では、そんな戦略コンサルタントのお仕事を紹介いたします。
戦略コンサルタントとは？
戦略コンサルタントは、企業の中長期の経営戦略や事業戦略を策定するサポートを行います。具体的には、マーケティングや営業、ブランド戦略、新規事業立案などの領域でのコンサルティングを担当しています。企業の現状を調査・分析して最適なプランを提案するプロフェッショナルで、人事や財務などの幅広い領域でのコンサルティングを行っているところもあります。
ほとんどが「コンサルティングファーム」と呼ばれる専門の企業に所属しており、このファームには人材や戦略に特化したものなどさまざまな専門領域を持つところが存在します。どれも論理的思考力を活かしてプロジェクトを進め、クライアントが大きな利益を得られるように戦略を打ち立てています。
戦略コンサルタントの仕事内容
クライアントにヒアリング
この初期段階ではまずクライアントの責任者と面談を行い、要望や現在の状況を詳しく聞き取ります。ここで現在の事業や社内の状況や経営課題、期待する成果などを正確にヒアリングする事が重要です。ここで真の経営課題でも認識していない課題も発見し、独自の調査や分析を行って深層の課題を洗い出します。
解決策を策定・提案書作成
ヒアリングで得た情報を基に具体的な戦略やプランを策定し、提案書としてまとめて社内でプレゼンテーションを行います。このステップでの提案の質が、コンサルティングファームの選定に大きく影響します。
最適なプランを提案
プロジェクトの成果をまとめ、できあがったプランをクライアントに報告します。この報告をもとに、次のプロジェクトの営業活動も行われることが多いです。プロジェクトの実行までも行うところもありますが、主にプロジェクトの提案までを行うのが戦略コンサルタントの仕事です。
戦略コンサルタントの平均年収は？
戦略コンサルティングファームは、その専門性と高度なサービスを提供するためのエキスパート集団のため、業界全体と比較して高水準に位置しています。特に、少数精鋭の組織体制を取るファームでは、一人ひとりのコンサルタントが担当する案件の規模や重要性が大きいためそれに見合った報酬が設定されています。
平均年収は700万円程度で、長くコンサルタントとして働くことで安定して1000万円を超える収入を手に入れられます。このような報酬体系は、戦略コンサルタントの仕事の難易度と責任の重さ、そしてその結果としてのクライアントからの評価を反映したものと言えるでしょう。
戦略コンサルタントは未経験からでもなれるの？
未経験から戦略コンサルタントを目指すのは容易な道ではありませんが、20代であれば基本的なポテンシャルを重視した採用が行われることがあります。また、戦略コンサルで取り扱う領域はどんどん広がっていっています。そこでコンサルティングファームが特に力を入れている、または今後力を入れていきたいと考えている領域での業務経験を持つ人材は、特に歓迎される傾向にあります。
つまり、戦略コンサルタントは、未経験からでも今から努力すれば十分目指せる職種と言えます。しかし全員にこれが言えるわけではないため、もし30代前後の方や自分が持っている経験やスキルが足りないと感じている方の場合は、どのようにしたら目指せるかを後ほど紹介します。
戦略コンサルタントを目指すのに有利な職歴
プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャー
これらの経験は、戦略コンサルタントの仕事におけるプロジェクトの全体的な進行管理やチームのリーダーシップ、クライアントとのコミュニケーション能力があるとして有利に働くでしょう。
スーパーバイザーや店長などの業務改善や経営マネジメント
スーパーバイザーや店長などの業務改善や経営マネジメントの経験は、企業の課題を深く理解して具体的な解決策を提案し実行するコンサルタントと通じるところが多くあります。戦略コンサルタントとしての課題解決能力や戦略的思考力の高さをアピールできれば、即戦力になれるとして高い評価を受けるでしょう。
・営業職の経験
営業職での経験は、顧客のニーズを正確に捉えてそれに基づいた提案やプレゼンテーションを行う能力が養われます。またコンペでの受注経験や交渉力も身につけられるため、戦略コンサルタントとしての提案力や顧客とのコミュニケーション能力が高いと評価されます。
戦略コンサルタントに向いている人
論理的思考力のある人
戦略コンサルタントは問題解決のための多様なスキルを持つ必要があり、その基盤となるのが論理的思考力です。筋の通った論理的な解決策をクライアントに提示するために、日常生活でも物事を構造的に考えられる人材が求められています。
コミュニケーション力の高い人
プロジェクトを進める上で、クライアントやチームメンバーとの円滑なコミュニケーションが不可欠です。相手との関係構築や意見の共有、調整などで上手く立ち回れるコミュニケーションが求められます。
体力/精神力のある人
コンサルタントの仕事はクライアントを第一に考えてスケジューリングを行うため、体力的や精神的に負担がかかることが多々あります。これに耐えうる体力と精神力があることは、過去の経験を通じて困難な状況をどのように乗り越えてきたかをアピールすることが重要です。
戦略コンサルタントに必要・有利な資格
中小企業診断士試験
中小企業診断士試験は、中小企業の経営課題へ取り組む能力が証明できる国家資格で、取得すると経営コンサルタントとしてのスキルが培われます。財務や労務、事務、生産などの経営全般に関する幅広い知識を習得できます。
MBA（経営学修士号）
MBAは経営学の総合的な知識と実践的なスキルを身につけるための高度な学位プログラムで、MBA取得者は、実際のビジネスの現場で即戦力として活躍する能力を身につけられます。戦略コンサルタントとして働く際、企業の経営課題を解決するための洞察力や、多様なビジネスモデルの理解が求められるため、多くのコンサルティングファームがMBA取得者を高く評価しています。
TOEIC800点以上
TOEICは、そのような状況での英語コミュニケーション能力を具体的に示す指標として、多くの企業や組織において採用の際の参考資料として利用されています。戦略コンサルタントとして活動する中で、特に外資系のコンサルティングファームやグローバルに展開するプロジェクトに関わる際、高い英語スキルは必須となります。したがって、高いTOEICスコアを持つことは戦略コンサルタントとしての国際的な業務遂行能力をアピールする上で非常に有効です。
戦略コンサルタントと経営コンサルタントの違い
戦略コンサルと経営コンサルは企業の経営課題を解決する専門家ですが、実は取り組んでいる領域に違いがあります。戦略コンサルタントは企業の将来の方向性を決定することを第一に考え、中長期的な視点での経営戦略の策定に焦点を当てます。
一方経営コンサルタントでは具体的な経費削減やDX化など業務領域の案件に注力し、短中期的な成果を目指しています。戦略コンサルタントは、経営コンサルタントと違って「大きく舵を取る」役割を果たしている特徴があります。戦略コンサルタントは、クライアント企業の深い部分にまで関われる非常にやりがいのある仕事です。
戦略コンサルタントに関連する仕事をチェック！
ITコンサルタント
ITコンサルタントは、技術的なITの知識とビジネスの視点を併せ持ち、企業などクライアントの課題を解決するための最適なITソリューションを提案しています。現代の企業経営においてITの活用は不可欠で案件単価も高いため、ITコンサルタントは今後も注目で人気の職業です。
M&Aコンサルタント
M&Aコンサルタントは、企業の合併や買収（M&A）のプロセスをサポートする専門家です。企業の成長戦略の一環として、他の企業を買収する際や自社が買収される際にアドバイスを提供します。市場の動向や企業の価値評価、取引の交渉戦略などを分析・策定し、M&Aが成功に結びつくようサポートするコンサルタントです。高度な金融知識と交渉スキルを持ち、企業の価値を最大化するための戦略的アドバイスを行います。
経営コンサルタント
経営コンサルタントは、企業の経営課題を解決するための専門家です。経営の効率化や業務の最適化、組織の再編、IT戦略の策定など多岐にわたる領域での知識と経験を活かして、企業の競争力や利益を高めるためのサポートを行います。多くはコンサルティングファームに所属して、さまざまな業界やビジネスモデルに対応する能力が求められます。
