【今注目のSaaS業界への転職】仕事内容や必要な経験/スキルを徹底解説

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キャリアJUMPは、あらゆる業界について徹底解説するいわば『業界図鑑』です。この記事で紹介するSaaS業界は、ソフトウェアの提供とサービスの最適化を目指す多岐にわたる専門家たちが集まる業界です。SaaSは技術の進化とともに、クラウドベースのアプリケーションやビジネスソリューションへのニーズが増しています。この記事では、SaaS業界の魅力や仕事の内容を詳しく紹介いたします。

そもそもSaaSとは?なぜ注目されているの?

SaaS(Software as a Service)は、クラウド上で提供されるソフトウェアサービスのことを指します。従来のソフトウェア購入方法とは異なり、SaaSはユーザーがソフトウェアを直接購入・インストールするのではなく、インターネットを通じて必要な時にアクセスして使用します。このため、システムのアップデートやメンテナンスが容易で、初期投資も少ないのが特徴です。

近年、SaaSは多くの企業や個人に注目されています。その主な理由として、まず、コスト効率の良さ挙げられます。事前の大規模な投資や維持費用が不要であるため、経済的な負担が大きく軽減されるのです。さらに、SaaSはその柔軟性も魅力的です。必要に応じてサービスの追加や変更が容易に行えるため、変わりゆくビジネスニーズに迅速に対応することが可能です。また、アクセス性の高さもSaaSの大きな特長として挙げられます。どこからでもインターネットさえあればアクセスできるため、場所を選ばずに業務を進めることができます。これらの複数の利点が組み合わさって、多くの組織がSaaSを導入し、業務の効率化やコスト削減を目指しています。

Saasで募集されている職種と仕事内容は?

SaaS業界は急成長を続けており、多くの企業が様々な職種で人材を求めています。以下では、特に需要の高い職種とその主な仕事内容について解説します。

非対面での営業が役割のインサイドセールス

インサイドセールスは、オフィス内からの営業活動を中心とした職種で、主にオンラインや電話を活用して潜在的な顧客にアプローチします。具体的には、Webセミナーやオンラインデモンストレーションを提供し、製品やサービスの特長・メリットを詳しく伝える役割を担います。また、顧客からの問い合わせに応じて的確な情報提供や解決策を示すことも重要な業務の一つです。

インサイドセールスは、高いコミュニケーション能力と製品知識が求められるだけでなく、非対面での関係構築能力も不可欠です。さらに、CRM(顧客関係管理)ツールやコミュニケーションツールを使いこなして、顧客情報の管理やフォローアップを行う能力も必要です。このような独特の営業スタイルは、物理的な移動時間を省略できるため、一日の中で多くの顧客との接点を持つことが可能です。その結果、効率的な営業活動を展開し、多様な顧客ニーズに迅速に対応することができるのです。

直接提案での営業が役割のフィールドセールス

フィールドセールスは、顧客の現地に直接訪問して行われる営業活動のことを指します。この職種の担当者は、製品やサービスの実演、導入の提案、契約交渉などを行います。具体的には、まず事前にリサーチを行い、顧客のニーズや課題を正確に把握。その上で、どのようにして自社のSaaSソリューションが顧客の課題を解決できるのかを明確に提示します。

また、フィールドセールスは顧客との直接のコミュニケーションが鍵となるため、信頼関係を築く能力が極めて重要です。そのため、高い人間力や、相手の立場を理解し、適切な提案を行う説得力が求められます。さらに、市場の動向や競合他社の動きを常にキャッチし、迅速に戦略を修正できるアジャイルな思考も必要とされます。フィールドセールスの成功は、単なる製品の売り込みだけでなく、長期的な顧客関係の構築にも直結するため、戦略的なアプローチと深い顧客理解が不可欠です。

既存顧客への提案力が大事なカスタマーサクセス

カスタマーサクセスは、近年のSaaS業界で特に重要性が増してきた職種です。その主要な役割は、既存の顧客が製品やサービスを最大限に活用できるようサポートすることです。これには、顧客のビジネスニーズや課題を深く理解し、それに合わせた提案やトレーニングを行うことが含まれます。

具体的には、製品の新機能やアップデート情報を顧客に伝え、その活用方法を教示することや、顧客が抱える問題点や課題を解決するための最適なソリューションを提供することが求められます。また、顧客からのフィードバックを収集し、製品開発チームやマーケティングチームと連携して製品の改善に繋げる役割も果たします。

カスタマーサクセスは、単なる顧客サポートを超えて、顧客の成功を実現するための戦略的なパートナーシップを築く職種です。そのため、深い製品知識だけでなく、コミュニケーション能力や問題解決スキル、さらには戦略的な思考力が要求される重要なポジションとなっています。

未経験でも活躍できるSaaS企業で使える経験やスキルは?

SaaS企業は、テクノロジーの進化と共に急速に拡大しており、多様なバックグラウンドを持つ人材を求めています。未経験者でも、以下の経験やスキルを活かしてSaaS企業でのキャリアを築くことが可能です。

その業界への深い知見や就業経験

SaaS業界に転職するために、SaaS企業での経験や専門知識がないと難しいと考えるかもしれませんが、決してそういうわけではありません。むしろ、異業種からの転職者が持ってくる業界独自の知識や経験は、SaaS企業に新しい視点やアイディアをもたらすことができます。たとえば、金融、医療、製造業などの異なる背景からの転職者は、その業界の深い知見を活かし、SaaS製品のニーズを特定する際のアドバイザーとしての役割を果たすことができます。

具体的には、過去の業界での経験を生かして、新しいソリューションの提案や製品開発の方向性に貢献することが期待されます。例えば、製造業からの転職者であれば、製造ラインでの効率化や品質管理のためのSaaSソリューションのニーズを具体的に理解し、その提供に繋げることができます。一方、金融業界からの転職者は、金融のリスク管理やデータ分析に関するソフトウェアの要件に深い洞察を持っているでしょう。

課題を特定する能力

SaaS企業の最大の強みは、顧客の具体的なビジネス課題に対応したソリューションを提供することです。そのため、成功の鍵となるのは、これらの課題を正確に特定し、それに対応する最適な製品やサービスをデザインする能力です。具体的には、顧客との対話を深化させることで、彼らの業務フローや課題点を深く理解することが求められます。これには、聞き手としてのアクティブリスニングのスキルや、問題解決のためのクリティカルシンキングが必要です。

また、異なる業界や企業ごとに異なる独自の課題や要望があるため、幅広い業界知識や柔軟な思考が求められます。さらに、情報収集のためのリサーチ能力や、データ分析スキルを駆使して市場のトレンドや競合の動向を把握することも大切です。このように、課題を特定する能力は、単に顧客の声を聞くだけでなく、多岐にわたるスキルセットや知識が必要とされる、SaaS企業において非常に重要な役割を担っています。

丁寧なコミュニケーション

SaaS企業でのビジネスにおいて、丁寧なコミュニケーションは極めて重要な要素となっています。特にB2Bの取引を中心とした業界では、顧客との長期的な関係が求められるため、一つ一つのコミュニケーションがその関係の質を決定づける可能性があります。

まず、丁寧なコミュニケーションとは、単に礼儀正しさだけを指すものではありません。顧客のニーズや課題を正確に理解し、それに対して最も適切な返答や提案を行う能力が求められます。この過程でのアクティブリスニング、つまり相手の話を真剣に聞き、理解し、適切にフィードバックする技術が必要となります。

また、SaaSの製品やサービスは技術的な要素が多く含まれるため、難解な内容をわかりやすく伝える説明力も重要です。顧客が抱える疑問や懸念を早期にキャッチし、明確かつ具体的な解答を提供することで、信頼関係の深化に寄与します。

さらに、迅速な対応やフォローアップ、細部にわたる気配りも、丁寧なコミュニケーションの一環として欠かせません。これにより、顧客との長期的なパートナーシップを築く土台となるのです。

SaaS業界の年収は?

SaaS業界は、テクノロジーの発展と共に成長を続ける分野として注目されています。そんなSaaS業界の気になる年収をまとめました。この情報をもとに、業界の動向や自身のキャリアプランを見直す参考としていただければ幸いです。

企業名平均年収  引用元URL
マネーフォワード 647万円https://disclosure2.edinet-fsa.go.jp/WZEK0040.aspx?S100Q9Z0
SanSan700万円https://disclosure2.edinet-fsa.go.jp/WZEK0040.aspx?S100RRXW
Chatwork648万円https://disclosure2.edinet-fsa.go.jp/WZEK0040.aspx?S100QHCS

SaaS企業にはどういう会社がある?特徴を解説

SaaS業界は、多様なサービスやソリューションを提供する企業で溢れています。その中でも特に注目される企業を取り上げ、それぞれの特徴やビジネスモデルについて解説します。

複数のSaaS企業を買収し成長[マネーフォワード]

マネーフォワードは、初めは個人向けの資産管理ツールとして登場し、ユーザーからの高い評価を受けることで急速に認知を伸ばしました。この成功を背景に、ビジネス分野への展開を果敢に進め、特に中小企業向けのクラウド会計ソフトや給与計算サービスを中心に、幅広いサービスを展開しています。そして、マネーフォワードの成長戦略として顕著なのが、他のSaaS企業の積極的な買収です。これにより、事業領域の拡大とサービスの質を継続的に向上させています。

事業展開の背後には、同社のユーザー中心の考え方や迅速な意思決定が支えとなっており、これがマネーフォワードをSaaS業界の中でのリーダー的存在へと押し上げています。

マネーフォワードの社風については、社員の自主性を尊重する風土が根付いています。新しいアイデアや提案は歓迎され、これが同社の持続的なイノベーションを生む土壌となっています。また、フレックスタイム制度やリモートワークの導入など、働き方の多様性も同社の魅力の一つです。

名刺を起点にしたデータ活用サービスを展開[SanSan]

SanSanは、名刺管理の領域で一際目を引くサービスを提供する企業として知られています。名刺はビジネスの場での出会いを物語る重要なアイテムですが、SanSanはこれを単なる情報の収納ツールとしてではなく、データの宝庫として捉えています。

その主要サービスは、名刺情報をデジタルデータとして取り込み、クラウド上での一元管理を実現するもの。これにより、社員間での情報共有や新たなビジネスチャンスの発掘がスムーズに行えるようになりました。さらに、このデータをもとにした分析機能も搭載されており、効率的なマーケティングやセールス戦略の策定をサポートしています。

SanSanの成功の背後には、常にユーザーの課題を深く理解し、それに応えるサービスの開発に注力している姿勢が見て取れます。

また、同社の社風としては、オープンで風通しの良いコミュニケーションが特徴的。チーム内でのアイデア共有や意見交換が活発に行われており、これがサービスの高度化や新たな取り組みの原動力となっています。継続的な学びと挑戦を重視する文化が、SanSanの革新的なサービス展開を後押ししているのです。

多様な領域の課題解決を手がける[ラクス]

ラクスは、その名の通り「楽」を追求する企業としてスタートし、現在では多様なビジネス領域での課題解決を手掛けています。初めは特定の分野でのサービス提供から始まったラクスですが、ユーザーのニーズに応える形でサービスを拡大し、現在ではマーケティング、営業支援、オペレーション最適化など、多岐にわたる領域でのソリューションを提供しています。

このような幅広いサービス展開を可能にしているのは、ラクスの独自の技術力と深い業界知識です。また、クライアントの課題に真摯に取り組む姿勢が、多くの企業からの信頼を勝ち取っています。

ラクスの社風として特徴的なのは、その開放的で柔軟な雰囲気。社員それぞれのアイディアが尊重される文化があり、これが常に新しいソリューションの創出につながっています。また、働きやすさを追求する一環として、リモートワークやフレキシブルな勤務体系の導入など、最先端の労働環境を整えている点も魅力として挙げられます。

SaaS業界の将来性や今後の展開は?

近年、SaaS業界の成長が目覚ましいものとなっています。その背景には、企業のデジタルトランスフォーメーションの進行や新しい働き方の導入、さらには業界内でのM&Aの増加といった要因があります。以下、この業界の将来性や今後の展開について、詳しく説明します。

DXや働き方改革が後押しに

デジタルトランスフォーメーション(DX)は、技術の革新を活用してビジネスプロセスを変革し、企業の競争力を強化する動きとして、多くの業界で進行中です。SaaS(Software as a Service)は、このDXの推進において中心的な役割を果たしています。クラウドベースのアプリケーションやシステムは、企業にとって初期投資を低減させ、柔軟にスケールすることを可能にするため、業務効率化や新しいビジネスモデルの構築を容易にします。

一方、働き方改革として、リモートワークやフレックスタイムの導入が進められています。COVID-19の影響でのテレワークの急速な普及は、オンラインでのコラボレーションツールやビデオ会議システム、プロジェクト管理ツールなどのSaaS製品の需要を一気に高めました。従来のオフィスベースの働き方から、場所や時間に縛られない柔軟な働き方へのシフトは、SaaSのポテンシャルをさらに引き出し、業界の成長を後押ししているのです。このように、DXと働き方改革は、SaaS業界の将来性を明るく照らす大きな要因となっています。

M&Aによって複数のサービスを運営する企業も

SaaS業界では、近年、M&A(合併・買収)の活動が非常に活発となっています。大手SaaS企業が新興のSaaSスタートアップや他の有望なSaaSプロバイダーを買収することで、独自のサービスポートフォリオを迅速に拡充しています。このような買収戦略の背景には、市場の競争が激化する中での差別化や、新しい技術や顧客基盤の獲得、そして新たな収益源の確保という思惑があります。

一つの企業が複数のSaaSサービスを運営することの利点として、顧客に対して一貫したユーザーエクスペリエンスを提供できること、クロスセルやアップセルの機会の拡大、さらにはオペレーションの効率化が挙げられます。顧客は一つのプラットフォーム上で複数のサービスを利用することができ、企業は顧客のニーズに応じた柔軟なソリューションを提供することが可能となるのです。

SaaS業界をやめとけと言われる理由

SaaS業界はその柔軟性や拡張性などの利点から、近年非常に注目されている分野です。しかしその一方で、業界特有のハードルや課題も存在します。ここでは、SaaS業界におけるキャリアを考える上でよく指摘されるリスクや懸念点を2つの視点から詳しく探ってみましょう。

会社は新規調達で成り立っていて黒字になっていないことが多い

出典:SaaSスタートアップの動向 – INTIAL(画像はDiary編集部で作成)

SaaS業界は急速な成長を遂げているものの、その背後には新規の資金調達を頼りにしたビジネスモデルが多く存在します。特にスタートアップ段階の企業は、製品の開発や市場浸透を追求する過程で大きな投資が必要となるため、黒字を追求するよりも継続的な資金調達を重視する傾向が強いのです。このような経営スタイルは、短期的な成長を促進する一方、長期的なビジネスの持続性や安定性に疑問符がつくことも。従業員から見れば、会社の経営基盤の脆弱さや将来的な不安定性を感じる要因となり得ます。

SaaS特有の営業文化

SaaS業界の営業文化は、他の産業と比較しても独特のものがあります。一つの特徴として、高い月次再帰収益(MRR)の目標達成に向けた激しいプレッシャーが挙げられます。このため、営業メンバーは継続的に成果を出し続けることが求められ、その結果、日々の業務におけるストレスや長時間労働が常態化することも少なくありません。また、顧客の獲得やリテンションのための戦略的なアプローチが必要とされ、短期間での高い成果を求められるため、営業スキルだけでなく、深い業界知識や製品知識も求められます。このような環境は一部の営業職には向いているかもしれませんが、すべての人に合致するわけではなく、適合性を十分に考慮することがキャリア選択において重要です。

自分にあったSaaS企業の選び方のコツは?

SaaS企業はその多様性から、多くの求職者に選択肢として挙がります。しかしその一方で、SaaS企業の中でも特性や文化、業界の位置付けはさまざまです。転職を成功させるためには、自分に合った企業を見極める力が求められます。以下、その選び方のコツを3つの視点からご紹介します。

業界への深い課題感に共感できるか?

SaaS企業を選ぶ際、業界に対する深い課題感との共感が重要です。自身が働く業界の課題や問題点に共感し、それに対して何かしらの解決や改善を提供することが、モチベーションや満足度を高める鍵となります。具体的な業界課題への共感は、仕事に情熱を持ち、成果を上げるための原動力となるのです。

たとえば、教育分野でSaaS企業に入社する場合、教育の格差やアクセスの不均衡に対する問題に共感し、教育技術の提供を通じて社会に貢献したいという強い願望を持つ必要があります。また、ヘルスケア分野でのSaaS企業なら、医療の効率化や患者の健康増進に関する問題に共感し、その解決に向けて取り組む意欲が重要です。

共感があるか否かは、企業選びにおいて重大な要素となり、自身のキャリアを充実させる一助となるでしょう。面接や企業研究を通じて、その企業がどのような社会的課題に取り組んでいるのか、自身の価値観やミッションと一致するかをじっくり考えましょう。

他社との競合優位性はあるか?

首位のSansanは、社内の名刺をクラウド上で一括管理ができるサービスなどを展開しています。サイボウズは「kintone(キントーン)」や「サイボウズOffice」などのグループウェアを、ラクスは経費精算システム「楽々精算」などを展開しています。

SaaS企業を選ぶ際、その企業が他社に比べてどのような競合優位性を持っているかを評価することが大切です。例えば、独自のテクノロジーや特許を保有しているか、顧客基盤が強固なか、強力なブランドイメージを築いているかなどを検討しましょう。これらの要素が、企業の持続的な成長や安定性に大きな影響を与えます。

また、市場での競争力を評価する際には、他社と比較してどのような差別化要因があるかも考慮に入れましょう。競合相手が提供していない独自の機能やサービス、価値提案がある場合、それが企業の成功につながる可能性が高まります。さらに、企業の成長戦略や戦術、市場シェアの拡大計画なども、競合優位性を評価する際に考慮すべきポイントです。

今後の成長が見込まれる分野/業界か?

企業を選ぶ際、その企業が所属する業界や分野の将来性は非常に重要です。成長が見込まれる業界でのキャリアは、安定性と将来への展望をもたらします。例えば、クラウドコンピューティング、人工知能、ヘルステック(健康技術)など、今後の成長が期待される分野では、新たなビジネスチャンスが豊富です。また、社会的に重要視される分野、例えば環境関連技術やサステナビリティ分野も注目されています。あらゆる選択肢の中で、自身のスキルや興味に合った分野や業界を見つけ、そこでの成長と貢献が期待できる企業を探すことが、成功への第一歩です。

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