人事コンサルタントの仕事内容
人事コンサルタントは、企業の競争力を高めるために必要な適切な人材の確保や育成、そしてその人材を最大限に活用するための組織作りを主に行っている職業です。人事コンサルタントは、これらのクライアントの課題を解決するための戦略や手法を提案して実施に至るまでをサポートしています。
人事コンサルタントの仕事の流れ
人事コンサルタントにはさまざまな分野があり、人事組織や採用、人材育成などさまざまな角度から企業の課題にアプローチしています。それでも、大まかな仕事の流れはほとんど変わりません。ここでは、主な仕事の流れを紹介します。
クライアント企業にヒアリング
まず、クライアント企業の経営方針やビジョンなどをヒアリングし、短期的なものから中長期的なものまで人事戦略を策定します。ここでは、クライアント企業の責任者でも気づかないような深層にある課題を発見し、「企業が本当に目指したい姿」を確認していきます。
人事戦略の策定
ヒアリングした情報を基に組織の現状を分析し、問題点や課題を洗い出します。これにより、組織の強化や風土改善の方向性を定め、給与制度や評価制度、昇進制度など、人事に関するさまざまな角度から具体的な策を練ります。これにより、従業員のモチベーション向上や公平性の確保を図っていきます。
人事戦略の実施
人事組織や採用、人材育成など切り込み方はさまざまですが、研修の実施や労働環境の見直し、求人広告の作成や面接の実施などを実際に行っていきます。実施を企業に委ねる場合もありますが、多くの場合は人事コンサルタントが介入して、組織がよりよくなるような環境づくりを寄り添って行います。
人事コンサルタントの平均年収は?
人事コンサルタントの平均年収は773万円でした。これは、全国平均の年収436万円よりも高い水準で、特に人事コンサルタントは専門性の高い職種なので、経験やスキルに応じて1000万円を超える高収入を得ることも十分に可能です。人事コンサルタントの平均年齢は30代中盤から40代と高いため、その分平均年収が上がっていると見ることもできます。
人事コンサルタントは未経験からでもなれるの?
結論、人事コンサルタントへの転職は未経験者でも十分可能です。もちろん、人事コンサルタントとしての具体的な業務経験があると採用の際に有利にはなりますが、必ずしも経験者でなければいけない訳ではありません。実際に働き方改革などで人事コンサルタントのニーズが増加しており、未経験者でも転職のチャンスが増えているため20代中盤あたりまでのポテンシャル採用をしている企業もあります。それ以上の年齢の方はなんらかの専門的なスキルや職歴をアピールすることがある程度求められますが、それについては後述します。
人事コンサルタントへの転職に役立つ職歴
プロジェクトリーダーやプロジェクトマネージャーの経験
一般企業人事関連問わず、プロジェクト全体の進行管理やチームのリーダーシップ、さらにはステークホルダーとのコミュニケーション能力が要求される役職での経験は、人事コンサルタントとしてのプロジェクトの取りまとめ能力や顧客との関係構築能力を高めるものとして評価されます。
スーパーバイザーや店長の経験
これらの役職での業務改善や経営マネジメントの経験は、企業の課題を深く理解し、具体的な解決策を提案・実行する能力が求められる人事コンサルタントの役割と共通点が多いです。このような経験は、課題解決能力や戦略的思考力を高めるものとして評価されます。
・営業職の経験
顧客のニーズを正確に把握し、それに基づいた提案やプレゼンテーションを行う能力が養われる営業職の経験は、人事コンサルタントとしての提案力や顧客とのコミュニケーション能力を高めるものとして評価されます。
人事コンサルタントに必要・有利な資格
人事コンサルタントとして必要な国家資格は特にありませんが、以下のような資格が有利とされています。
中小企業診断士試験
中小企業診断士試験は、中小企業の経営課題へ取り組む能力が証明できる国家資格で、取得すると経営コンサルタントとしてのスキルが培われます。人事の知識とは直接関係しませんが、財務や労務、事務、生産などの経営全般に関する知識を習得できます。
キャリアコンサルティング技能士
国家資格のキャリアコンサルタントは、採用後の育成や評価などの業務に特化した資格です。この資格を持っていないと「キャリアコンサルタント」と公的に名乗ることはできません。一方で、「キャリアコンサルティング技能士」はキャリアコンサルティングのスキルを認定する資格で、国家資格ではありません、この資格だけでは「キャリアコンサルタント」と名乗ることはできず、両資格は別々に取得する必要があります。
労務管理士
労働関係法令や社会保障法令に関する国家資格で、労働や社会保険の書類作成代行や相談を独占的に行う資格です。これは「8士業」の一つで、主に雇用や社会保険の手続きを担当します。しかし、最近では企業年金制度や人事評価制度の構築、メンタルヘルス対策など多岐にわたる業務が増えており、人事コンサルタントとしての役割も増している注目の資格です。
これらの資格は、人事やキャリアに関する知識を証明するもので、人事コンサルタントとしての信頼性や専門性を高めるために役立ちます。
人事コンサルタントに向いている人
論理的思考力のある人
人事コンサルタントには人事を成功させるためにさまざまなスキルが必要とされますが、その基盤となるのが論理的思考力です。筋の通った論理的なソリューションをクライアントに提示するために、日常生活でも物事を構造的に考えられる人材が求められています。
コミュニケーション力の高い人
人事の交渉や手続きを進める上で、クライアントやチームメンバーとの円滑なコミュニケーションが不可欠です。相手との関係構築や意見の共有、調整などで上手く立ち回れるコミュニケーションが求められます。また、人事コンサルタントはいわば企業の悪い点に言及して対策を組む仕事です。言い方ひとつで、失礼と捉えられてしまう危険性をはらんでいます。穏やかで円滑にやり取りを進められるコミュニケーション能力を備わっている人材が求められています。
体力・精神力のある人
コンサルタントの仕事はクライアントを第一に考えてスケジューリングを行うため、体力的や精神的に負担がかかることが多々あります。これに耐えうる体力と精神力があることは、過去の経験を通じて困難な状況をどのように乗り越えてきたかをアピールすることが重要です。
人事コンサルタントのキャリアパス
人事スペシャリストとしてのキャリア
人事の各業務に特化して経験を積み、最終的には人事部門を監督する役職へと昇進するキャリアパスです。大企業では採用や研修、人事制度など人事業務が細分化されていることが一般的なため、経験とともにより高度な業務を担当し、最終的には人事部長などへ昇進する道が期待できます。
バックオフィスのゼネラリストとしてのキャリア
このパスは、人事だけでなく経理や総務、法務などのさまざまな管理業務に携わるものです。特に中小企業やベンチャー企業では、人事担当者が複数の業務を兼任することが一般的なため、最終的には管理部門全体を統括する役職、例えば管理部門長へと昇進することが期待できます。
別分野のコンサルタントとしてのキャリア
組織・人事コンサルタントの経験を活かし、論理的思考やプレゼンテーション能力を利用して、財務やDX、物流、新規事業などの異なる分野のコンサルタントに転身することが可能です。
人事コンサルタントに関連する仕事をチェック!
戦略コンサルタント
戦略コンサルタントは、企業の経営層に対して中長期的な経営戦略の策定や実行をサポートする専門家です。市場の動向や競合状況を分析し、企業の強みや弱みを考慮して最適な戦略を提案します。また、新市場の機会の特定や合併・買収の評価といった成長戦略のサポートも行います。
M&Aコンサルタント
M&Aコンサルタントは、企業の合併や買収(M&A)のプロセスをサポートする専門家です。企業の成長戦略の一環として、他の企業を買収する際や自社が買収される際にアドバイスを提供します。市場の動向や企業の価値評価、取引の交渉戦略などを分析・策定し、M&Aが成功に結びつくようサポートするコンサルタントです。高度な金融知識と交渉スキルを持ち、企業の価値を最大化するための戦略的アドバイスを行います。
ITコンサルタント
ITコンサルタントは、技術的なITの知識とビジネスの視点を併せ持ち、企業などクライアントの課題を解決するための最適なITソリューションを提案しています。現代の企業経営においてITの活用は不可欠で案件単価も高いため、ITコンサルタントは今後も注目で人気の職業です。