シナリオライターの仕事内容・流れ
シナリオライターとは、ゲームや映画、アニメ、ドラマなどさまざまな分野で脚本を作るプロです。主な役割は、物語の骨組みを作ってキャラクターのセリフや行動、物語の展開を設計することで、作品のクオリティに大きく関わる重要な職業です。個人事業主・フリーターとして案件ごとに企業と関わってシナリオを作る方法か、作品作りを行っている特定の企業に就職する方法に分けられます。ここでは、シナリオライターの主な仕事の流れを詳しく見ていきましょう。
依頼を受けてプロットを書き出す
シナリオライターは、物語の大筋やプロットを考え出して、案が通るまでアイデア出しを行います。企画の立ち上げからシナリオライターが関わることは名の通ったシナリオライターでないとほぼなく、大抵はプロデューサーや監督、スポンサーなどから依頼を受けて脚本づくりを行います。
打ち合わせや資料集め・取材を行う
次に、打ち合わせや脚本作りのための資料集めや取材を行っていきます。ファンタジー路線や時代物など、作品によってシチュエーションや時代設定などが特殊な場合も多いです。数回の打ち合わせを経て企画の大まかな流れや目標が決定しても、細かな取材や資料集めは続いていきます。
ストーリーの執筆を行う
いよいよ、ストーリーの構成作りやキャラクターのセリフ作りを行います。多くの人が想像するシナリオライターの仕事内容は、これに当たります。ここまででキャラクター作りがしっかりできていると口調やセリフ回しの精度が保たれるため、これ以前の業務も重要です。
フィードバックを受け取って修正する
作成したシナリオは、クライアントやプロジェクトメンバーからのフィードバックを受け取り、それに基づいて随時修正を行います。物語の質を高めるために非常に重要な作業で、ここに多くの時間を費やします。
未経験でもシナリオライターになれるの?
シナリオライターという職種は、作品作りの才能やセンスが求められるプロの仕事です。完成度がシビアに求められる難しい職業ですが、未経験からこの道を目指すことは不可能ではありません。以下、未経験者がシナリオライターとして採用されるポイントや転職市場について解説します。
シナリオライターの需要は年々上がっている
近年、エンターテインメント業界は多岐にわたり拡大しています。映画やTVドラマ、アニメ、ゲームなど多くのメディアが脚本を必要としていて、特にゲーム業界では多様なジャンルのゲームが増えているため、それぞれのゲームに合うような多様なシナリオライターが求められています。このような背景から、シナリオライターの需要は増加傾向にあります。
全くの未経験者では厳しい?
未経験でもシナリオライターとしての扉は開かれています。特にスマホゲームのシナリオ制作では未経験者を受け入れるケースが増えており、採用人数は増加傾向にあると言えます。しかし、未経験者であっても高いクオリティのシナリオ制作が求められるため、多少の実務経験がある方が望ましいのが現状です。また、大きい規模の作品に携われるような企業へシナリオライターとして転職するのは、未経験では難しいでしょう。
とはいえ専門学校に通っていなくても転職は可能
多くの職種において、専門学校の卒業資格が必須とされることは少なくなってきました。特にシナリオライターのようなクリエイティブな職種では、中途採用学歴よりも実力や実績が重視される傾向にあります。確かに、専門学校に通うことで得られる知識や技術は専門性が高く、就職の際には有利に働くでしょう。しかしシナリオライターの場合、そこまで専門性の高い知識は必要とされません。シナリオライターに関連する職歴やスキルを上手くアピールして、採用を目指してください。
シナリオライターに未経験から転職する方法
片っ端から求人に応募する
当たり前ですが、まずはシナリオライターの募集を行っている求人に対して応募を行いましょう。経験者優遇と書いてある場合も多いですが、必須条件でない限り未経験からでも応募して問題ありません。また、一部のゲーム会社は募集をかけていない場合がありますが、直接連絡を取ることでチャンスを掴むことができることもあります。
ネット上に作品を投稿して賞の受賞・スカウトを狙う
一部のゲーム会社は、小説投稿サービスなどインターネットを通じて新人の発掘を行っています。コンテストに応募して賞を受賞したりたくさんの評価を受けたりすることで、関係者の目に留まってスカウトなんて可能性もあります。仕事の傍ら作品を投稿していくことで未経験者を脱することができ、インターネット上である程度名前が知られるようになってから転職を目指すこの方法は、実力と継続力さえあれば着実と言えます。
プロと人脈を作って紹介してもらう
少し難しい方法ですが、既に業界で活躍しているシナリオライターとインターネットや交流会などを活用して知り合い、紹介を受ける方法も有効です。これも、まずはインターネット上に作品を投稿していくことから始めるのがおすすめです。
これは企業に就職して正社員としてシナリオライターを目指す方法ですが、フリーランスとして始める場合には、ほとんどが2つ目のインターネットを利用する方法が取られます。徐々に知名度を増やしていって、案件募集を行う方法が主流です。
シナリオライターに向いている人
物語を読むのが好きな人
シナリオライターとしての基本は、物語やキャラクターへの深い愛情と情熱です。したがって、情熱を持って物語の魅力や深みを理解して、それを表現するのが得意な人が向いています。また、日常の出来事や人間関係からインスピレーションを受け取れる感受性も必要です。
批判を受け入れる精神力や柔軟性のある人
シナリオライターの作品は多方面からのフィードバックや批判を受けることが多いです。それを成長の糧として受け入れ、自らを磨くことができる柔軟な人が適しています。
スケジュール管理が得意な人
シナリオライターは納期を守ることが求められるため、自分でスケジュールを管理して、進捗を確認しながら作業を進める能力が必要です。特にアイディア出しや執筆のスパート時には、自分のペースで効率よく仕事を進めることが求められます。
シナリオライターに有利な資格・実務経験
シナリオライターに必要な資格はありません。しかし、ある程度身につけておいた方が良いPCスキルがあるため以下で紹介します。
マイクロソフトオフィススペシャリスト(MOS)
この資格は、WordやExcel、PowerPointなどのマイクロソフトオフィス製品の使用スキルを証明するものです。未経験でも問題ないとはいえ、PCを扱うのが困難となれば採用は厳しくなっていきます。MOSは、実務において非常に役立つ資格のため取っておいて損はないです。
WEBライターや小説家など文字を扱う職歴
WEBライターとしての経験は、短い文字数で伝える技術やスピード力などが備わっていることをアピールできます。小説家であれば、綿密なプロット作成や取材スキルなどよりシナリオライターで求められているスキルに近いものが習得できていると見なされ、非常に有利に働くでしょう。
ゲームプランナーなど業界の上流工程での職歴
ゲーム業界においてはゲームプランナーなど、シナリオライターよりも上流のポジションであれば、仕事の流れや詳細の内容について詳しいと見なされ、これも有利に働くことがあります。
シナリオライターの平均年収
シナリオライターの年収は、業界や勤続年数などによって大きな差が見られますが、平均的には年間300万円から450万円の間で推移しているとされています。特に、ゲーム業界やインターネット上のコンテンツなどで雇われているシナリオライターは、1文字あたり2~3円などという単価で報酬が支払われている場合もあります。
ブラックなの?未経験者が直面する現実
シナリオの質とスピードを両立するのが大変
シナリオライターとしてのキャリアをスタートさせる際、未経験者が直面するのは、シナリオの質とスピードを両立することの難しさです。チームでの作業であれ個人での作業であれ、常に納期に追われる生活を送ることになります。その中でも高品質なシナリオを迅速に提供することが求められるため、業務に慣れるには時間を要します。
ユーザーからの批判が寄せられることも
さらに作品が公になると、一般のユーザーやファンからの評価や批判が直接的に届くことになります。ユーザーからの批判は容赦なく、作品が「つまらない」と感じられれば厳しい意見が飛び交うことも。しかし、その一方で、自分の作品が称賛されるという喜びは、他の仕事とは比べ物にならないほどのものです。
激務ではないが、給与は低め
シナリオライターは、納期に追われる仕事ではあるもののそこまで激務とは言えないほどです。たまにシナリオライターがブラックと言われてしまうことはありますが、その原因は給与水準の低さです。常にアイデアを出し続けるハードな仕事内容ですが、その割に薄給というのがブラックと言われてしまう所以でしょう。ただとても面白くやりがいのある仕事なので、それでも人気を集めている職業です。
シナリオライターのキャリアパス
上流工程の業務に異動する
シナリオライターとしての経験を活かし、プロジェクトの管理やディレクションに関わる役職への移行が考えられます。ディレクターやプランナー、プロジェクトリーダーなど上流工程の役職では、シナリオの制作だけでなく全体の進行管理やチームのマネジメントも求められます。この道を選ぶことで、収入の向上やキャリアの幅を広げることが期待できます。
フリーのシナリオライターとして独立する
執筆活動に専念したい方や多様なプロジェクトに関わりたい方は、フリーランスとしての独立を選ぶ道もあります。この道を選ぶことでさまざまなジャンルやテーマのシナリオを手掛けることができる反面、安定した収入を得るための地道な営業活動や自身での業務管理が必要となります。
シナリオライターチームのリーダーになる
同じ企業に所属し続けることで、シナリオディレクターや演出ディレクター、さらにはシナリオ部門の統括マネージャーといった役職への昇進を目指すことができます。これらの役職では、シナリオの制作だけでなくチームのマネジメントやプロジェクト全体の進行管理など、多岐にわたる業務が求められます。
AIに仕事を奪われる?!将来性のある仕事なの?
近年AI技術の進化により、文章生成やクリエイティブな作業も自動化されるようになってきました。シナリオ作りはAIの得意とする分野ですが、シナリオライターの仕事には人間の感情や経験をもとにした独自の視点や感性が求められるため、完全にAIに置き換えられることは難しいと言われています。また、文化や時代背景を理解して物語を紡ぐ能力は、現状のAI技術では再現が難しいです。そのため、シナリオライターとしての将来性は依然として高いと考えられます。