SES営業の仕事内容は?未経験からの転職方法や必要スキル/資格・向いてる人など解説

法人営業

キャリアJUMPはあらゆる職業について徹底解説する『職業図鑑』です。今回のスポットライトは、ビジネスの舞台裏で企業とエンジニアを繋ぐ「SES営業」に焦点を当てます。SES営業は、システムエンジニアリングサービス(SES)の提供を通じて、企業のITプロジェクトをサポートし、エンジニアのキャリアを築くお手伝いをするポジションです。ビジネスのニーズとエンジニアのスキルを最適にマッチングさせ、プロジェクトが成功に導かれるように調整するのが主な仕事内容です。この記事では、SES営業の魅力や、その仕事内容についてご紹介します。

SESとは

SES(システムエンジニアリングサービス)とは、ITエンジニアがクライアント企業に派遣され、システム開発やITサポートを行うサービスです。エンジニアはプロジェクトのニーズに合わせて選ばれ、その専門スキルを活かしてクライアント企業のプロジェクトをサポートします。SESビジネスは、エンジニアの技術力と営業のマッチング力がクライアントの成功に直結します。

SES営業の仕事内容は?

SES営業は、エンジニアと企業を繋ぐ架け橋となり、双方にとって最適なビジネスマッチングを行います。主な仕事内容は以下の通りです。
・エンジニアのスキルと企業のプロジェクトニーズのマッチング
・プロジェクトの進行管理とクライアントフォロー
・エンジニアのキャリアサポート
・新規クライアントの開拓

エンジニアのスキルと企業のプロジェクトニーズのマッチング

SES営業はエンジニアの技術や経験を把握し、企業のプロジェクト要件とマッチングさせる役割を果たします。エンジニアのスキルセット、専門知識、プロジェクト経験を詳細に理解し、それを基に企業の具体的なニーズやプロジェクトの目標に最適なエンジニアを選定、提案します。このプロセスでは、エンジニアのキャリアパスと企業の成功双方を考慮に入れ、双方にとって最適なマッチングを実現します。

プロジェクトの進行管理とクライアントフォロー

プロジェクトが始まると、SES営業は進行状況を定期的にモニタリングし、クライアントとエンジニアの間のコミュニケーションをサポートします。プロジェクトの進捗、品質、スコープをチェックし、期限内に目標を達成するためのサポートを提供します。また、クライアントからのフィードバックや変更要求を適切にハンドリングし、プロジェクトがスムーズに進むよう調整します。

エンジニアのキャリアサポート

SES営業はエンジニアのキャリアを全面的にサポートします。エンジニアのスキルアップやキャリアアップを視野に入れ、将来的なキャリアパスを考慮したプロジェクトを提案します。また、エンジニアが抱えるキャリアに関する悩みや課題をヒアリングし、キャリア形成におけるアドバイスやサポートを提供します。

新規クライアントの開拓

新規クライアント開拓では、市場の動向を把握し、新しいビジネスチャンスを見つけ出します。企業の課題やニーズを深く理解し、それに対する最適なSESサービスを提案します。営業戦略を立て、アプローチ方法を工夫しながら、企業との信頼関係を築き、新しいプロジェクトを獲得することを目指します。

SES営業の評判が悪い理由とその実態

SES営業には、時に厳しい評価が寄せられることがあります。なぜそういった評価が生まれてしまうのでしょうか。ここでは、一般的に言われるネガティブな評価と、その背後にある現実を解説します。

直接契約すればSES営業は不要

SES営業に対する一つのネガティブな評価として、「中継ぎ不要論」が存在します。この視点では、「エンジニアとクライアントが直接契約を結べば、SES企業を通さなくてもプロジェクトは進行するのではないか?」という意見があります。確かに、直接契約にはコミュニケーションがスムーズであるというメリットが考えられます。しかし、SES営業が担う役割は、単なる中継ぎ以上のものです。エンジニアのスキルや経験を正確に把握し、クライアントのニーズに最も適したエンジニアを提案すること、プロジェクトの進行をサポートし、トラブルが発生した際の調整役となることなど、多岐にわたります。これが、プロジェクトをスムーズに進行させ、双方にとって最良の結果を生む鍵となるのです。

板挟みコミュニケーションの難しさ

「偉そう」「ひどい」といった厳しい言葉もSES営業に対しては飛び交います。確かに、エンジニアとクライアントの間でコミュニケーションをとることは、単なるスキルやテクニックを超えて、高度な理解や感受性、繊細さが要求されるものとも言えるでしょう。ここで大切なのは、このコミュニケーションの難しさを乗り越えた時、SES営業は真の価値を発揮するということです。エンジニアとクライアント双方からの信頼を得ることで、プロジェクトはよりスムーズに進行し、より良い結果を生むことができます。

SES営業に必要な資格/スキルは?

SES営業には、エンジニアとクライアントを適切にマッチングさせるための多岐にわたるスキルが求められます。ここでは、特に役立つ3つの資格について詳しくご紹介します。

資格主催団体難易度内容
PMP(Project Management Professional)PMI(Project Management Institute)一定の実務経験と35時間の教育が必要プロジェクトマネジメントの専門家としての知識とスキルを証明
ITパスポート試験情報処理推進機構(IPA)初心者でも取り組みやすい内容ITの基本用語やシステムの基本的な構造、ビジネスでのIT利用法についての基礎知識
基本情報技術者試験(FE)情報処理推進機構(IPA)中級者向けの内容プログラミングやネットワーク、データベースなど、ITに関する基本的な領域全般にわたる知識

PMP(Project Management Professional)

PMPは、アメリカのPMI(Project Management Institute)が提供する国際的に認知されている資格です。プロジェクトマネジメントの専門家としての知識とスキルを証明し、世界中でその価値が認められています。資格取得には、一定の実務経験と35時間の教育が必要で、試験も難易度が高いとされています。SES営業においては、プロジェクトの進行管理やリスク管理に役立ちます。

ITパスポート試験

ITパスポート試験は、情報処理推進機構(IPA)が実施する、ITの基本的な知識を問う資格です。ITの基本用語やシステムの基本的な構造、ビジネスでのIT利用法についての基礎知識を測ります。初心者でも取り組みやすい内容であり、IT業界でのキャリアをスタートするうえでおすすめの資格です。SES営業では、クライアントのニーズを理解し、エンジニアと適切に意思の疎通をする基盤となります。

基本情報技術者試験(FE)

基本情報技術者試験(FE)は、IPAが実施する、ITの基礎から応用にわたる広範な知識を問う資格です。プログラミングやネットワーク、データベースなど、ITに関する基本的な領域全般にわたる知識が要求され、中級者向けの内容となっています。SES営業においては、エンジニアの技術的な話を理解し、クライアントに適切に説明するのに役立ちます。

SES営業は未経験でもできる?

SES営業を未経験でも始める道はあります。特にIT関連の職種や営業職からの転職は一般的で、それぞれの経験がSES営業にどのように活かされるのかを以下に詳しくご紹介します

IT関連の職種(システムエンジニア/プログラマー/ネットワークエンジニア)

システムエンジニア

システムエンジニアは、システムの設計や開発を担当します。この経験は、エンジニアの技術やスキルを理解し、クライアントのニーズに合った提案をする上で非常に有効です。SES営業としてプロジェクトを進行させる際、エンジニアの視点を持ちながらクライアントとコミュニケーションをとる能力が身につきます。

プログラマー

プログラマーは、ソフトウェアのコーディングを行います。コードの知識は、クライアントの要望を技術的な視点から理解し、エンジニアとの架け橋となる役割を果たします。また、技術的な制約や可能性をクライアントに説明する際にも役立ちます。

ネットワークエンジニア

ネットワークエンジニアは、ネットワークの構築や管理を行います。ネットワークに関する深い知識は、クラウドサービスやリモートワーク環境の提案時に強みとなります。また、セキュリティに関する知識もSES営業において重要なポイントとなります。

営業職

営業職は、企業の製品やサービスをクライアントに対して提案し、契約に至るまでのプロセスを担当します。この経験は、SES営業においても直接的に活かされます。クライアントとのコミュニケーション能力、ニーズのヒアリング、提案力は、エンジニアのスキルとクライアントのプロジェクトニーズをマッチングさせる上で非常に重要です。また、契約交渉やクライアントフォローも営業職の経験を活かせるポイントです。特に、長期にわたるリレーションシップ構築のスキルは、プロジェクトがスムーズに進行し、クライアントとの信頼関係を築く上で不可欠です。
企業によっては最低限のIT知識やマネジメント経験がないと未経験での採用が難しいケースもあるので、応募前に確認するのがおすすめです。

SES営業に向いてる人は?

SES営業に向いている人はどういった方なのでしょうか。ここでは、SES営業に向いている方の特徴について紹介します。コミュニケーション力や分析力など、SES営業に必要なスキルや特性を具体的に解説していきます。

エンジニアとクライアントをスムーズに繋げるコミュニケーション力

SES営業は、エンジニアとクライアントの橋渡しをするポジションです。エンジニアの技術的な話とクライアントのビジネスニーズを繋げ、双方を理解しコミュニケーションをとる能力が求められます。また、エンジニアのキャリアパスを考慮したプロジェクトの提案も行います。

ニーズとスキルを正確にマッチングする分析力

クライアントのプロジェクトニーズとエンジニアのスキルをマッチングさせるためには、両者のニーズやスキルを正確に把握し、分析する力が必要です。また、市場の動向を分析し、新規クライアントを開拓する際の戦略も立てる必要があります。

エンジニアの成長をサポートするマネジメント能力

プロジェクトの進行管理やエンジニアのマネジメント、クライアントとの交渉など、多岐にわたる業務を遂行する上で、マネジメント能力やリーダーシップが求められます。特に、エンジニアが抱える課題を解決し、成長をサポートすることも大切な役割です。

日々進化するIT情報をビジネスに活かす力

IT業界は日々進化しています。新しい技術やツール、プロジェクト管理手法など、常に変化する情報をキャッチアップし、それをビジネスに活かす能力が必要です。新しい情報をもとに、より効率的なプロジェクトマネジメントやクライアントへの提案を行います。

SES営業のキャリアパスは?

SES営業のキャリアパスはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、SES営業からのキャリアパスを、具体的な職種とそのステップアップ方法を交えてご紹介します。次のステップを考える参考にして下さい。

SaaS業界への転職【カスタマーサクセス/インサイドセールス】

カスタマーサクセス

カスタマーサクセスでは、顧客がサービスを最大限に活用できるようサポートを行います。SES営業で培った、顧客の課題を把握し、解決に導くスキルが大いに活かされます。具体的なステップとしては、まずはSaaS製品の知識を深め、顧客が抱える課題を理解しましょう。その上で、どのようにサービスを活用すれば顧客の課題が解決するのかを学び、そのメソッドを顧客に提案するスキルを磨くことが重要です。

インサイドセールス

インサイドセールスでは、主にオンラインを通じて顧客とコミュニケーションをとります。SES営業で培ったコミュニケーションスキルや提案力が活かされるフィールドです。ステップアップの方法としては、まず製品知識の深化が必要です。次に、オンラインコミュニケーションのスキルを高め、リモートでのクロージング能力を磨くことがポイントとなります。

人材紹介の営業

人材紹介の営業では、SES営業で培ったIT業界の知識やヒアリングスキルが大きな強みとなります。まず、人材業界におけるニーズやトレンドを把握し、どのようなポジションが求められているのかを理解しましょう。次に、候補者と企業双方のニーズを深くヒアリングし、マッチングのスキルを高めることが大切です。また、キャリアアドバイスができるよう、キャリア形成に関する知識も学ぶことで、候補者からの信頼も得られるでしょう。あなたのコミュニケーション力と分析力で、候補者と企業双方にとって最良のマッチングを実現しましょう。

【Q&A】SES営業に関するよくある疑問

ここではSES営業にまつわるよくある疑問や不安を解決します。SES営業に興味をもっている方の疑問が少しでも解消され、SES営業というキャリアへの理解が深まる一助となれば幸いです。

SES営業に将来性はありますか?

SES営業は、IT業界の拡大と共にそのニーズも増しています。エンジニアのスキルを最大限に活かし、プロジェクトにマッチングさせる役割は、ITプロジェクトが増えるごとに重要性を増していますまた、多くのプロジェクトを手がけることで、多岐にわたる業界知識とネットワークを築くことができ、キャリアの幅を広げる要素となります。

女性でもSES営業になれますか?

絶対になれます。実際、多くの女性がSES営業として活躍しています。SES営業は、エンジニアとクライアントをつなぐ役割であり、コミュニケーション能力や課題解決力が重要となります。これらのスキルは、性別に関係なく身につけることができます。また、多様な視点がプロジェクトを豊かにするため、女性ならではの感性やコミュニケーションスタイルがプラスに働くことも多いです。キャリアを築く上でのサポート体制や働き方については、企業によって異なるため、自分に合った環境を見つけることも大切です。

「SES営業はきついからやめとけ」これは本当ですか?

SES営業は確かに、エンジニアとクライアントのニーズを両立させる難しさがありますが、「きつい」と感じるかは個人の視点によります。クライアントのプロジェクトを成功に導くやりがいや、多くのプロジェクトと関わることで得られる経験は、他の職種では得られないものです。また、チームで協力し合いながらプロジェクトを進めるため、協同作業の楽しさも味わえます。

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