キャリアJUMPはあらゆる職業について徹底解説する『職業図鑑』です。この記事で紹介するリース営業は、企業向けの設備や器具などを長期的に貸し出すサービスの営業を行う営業職です。リース業界の営業職は、リースの営業だけでなく多様な事業を取り扱っていることから人気の業界です。この記事では、そんなリース営業のお仕事を紹介いたします。
リースって何?ビジネスモデルを紹介
リースとは顧客に機械設備などを長期的に貸し出すサービスです。このサービスはレンタルと似ていますが、レンタルは短期間用(1日から1ヶ月程度)であり、トラブルが発生した時には貸し出し側が対応することが多いです。一方リースは長期間(半年から10年)で、トラブル時には借り手が対応することが一般的とリスクが少ない特徴があります。また、レンタルは中途解約が可能ですが、リースは基本的に解約できません。
さらに、リースは顧客のニーズに合わせて新規に商品を購入することもあります。取り扱う商品のジャンルに制限はなく、利益が出るまで一人の顧客に対して貸し続けるという特徴があります。こうした面白さや自由さから、多くの就活生から注目を集めている業界です!
リース業界には2種類の契約がある
リース業界にはファイナンス・リースやオペレーティング・リースなど主に2つの業態があります。ファイナンス・リースは途中で解約できないタイプのリース契約で、リース会社が顧客の代わりに商品を購入する契約です。したがって、商品の購入費や固定資産税、保険料などの費用がリース料に含まれる「フルペイアウト」方式が取られています。
一方、オペレーティング・リースはファイナンス・リースに当てはまらない取引すべてを指します。顧客が必要とする期間のみ商品を貸し出す契約であり、リース会社はリース終了時の残価を見込んでその額を差し引いた金額をリース料としています。使用者はリース期間を柔軟に設定でき、リース料金を節約できることからメリットの大きい取引です。
リース営業のビジネスモデルを解説!利益を得る仕組み
リース営業のビジネスモデルは、顧客の設備投資計画に基づいて最適なリース提案を行うことに重点を置いています。先程紹介したように、リース営業は取り扱う商品の分野に制限がないため、あらゆる手段を使って商品を買い出して利益を作り出すところに特徴があります。
競争の厳しいリース業界の中で差別化を図ってリースの契約を勝ち取るには、顧客にとっていかにお得に貸し出せるかが大きい要素になっています。たとえその場では赤字になるプランを組んだとしても、再リースや商品の転売などを考慮して利益を出せれば問題が無いという「生涯採算」がリースの考え方です。そのため営業マンは契約プランを自由に組み立て、最終的に利益を回収できるところに面白みがあります。
リース営業の仕事内容
リース営業の仕事内容は主にBtoB営業であり、企業顧客にリース契約を提案し販売することが業務の中心です。リース営業では、いきなりリースの話をすることはほとんどありません。そのためリース会社に出来る最善の手を尽くすために顧客の課題を深く聞き出し、それを解決するための策を自然に提案する能力が重要です。
リース営業で相手に取る顧客は、資金不足で設備投資が困難な企業や期間限定で新しい事業を始める企業などです。リース営業は赤字覚悟の提案を持ちかけることが多いため、「怪しい」と思われてしまうこともあります。そこで高いコミュニケーションスキルが必要であり、顧客のニーズに応じて新しいリース商品を開発するマーケティング能力も求められることが特徴です。
さらに顧客と新しい事業を立ち上げたり、グループ会社や別部署の事業を顧客に紹介して売り上げを伸ばしたりなどとリース以外の事業を行うこともあります。
リース営業は未経験でもなれる?
リース営業は、営業職なので未経験からでも十分に転職が可能です。ただし大学生からの人気も高い業界なので、倍率が高くなることは承知しておく必要があるでしょう。営業職という性質上、やる気や体力がアピールできれば採用の可能性は十分に高まります。
リース営業に有利な職歴
リース営業は金融業界に属しているため、銀行や証券会社、保険会社などの営業職での職務経験があると、比較的有利に転職が進められるでしょう。コミュニケーション能力をアピールするなら、営業職の他にホテルやサービス業界の接客業の経験も活かせるかもしれません。
リース営業に活かせる資格
リース営業には、特別必要な資格はありません。焦って資格を取得しなくても、リース営業への転職は可能です。しかし、中には入社後の取得を進めてくる企業もあり、新卒入社組はすでにいくつかの資格を取得済み…。なんてこともあるため不安ですよね。ここでは、取得しておけば転職や入社後の業務に活かせる資格をいくつか紹介します。
資格名 | 概要 | 難易度 | リース営業に役立つスキル |
---|---|---|---|
金融業務能力検定3級リース取引コース | リースの仕組みや法務、財務などリース取引に必要な専門知識を問われます。 | 低 | リース取引に関する基本的な知識、リスク管理、顧客ニーズの把握など |
宅地建物取引士 | 不動産取引に関する専門的な知識と実務能力が問われます。 | 中 | 不動産商品の契約、法律知識、交渉スキルなど |
ファイナンシャル・プランニング技能士 | 家計や資産運用に関する広範な知識が問われます。 | 中 | 資金の運用方法、顧客へのアドバイススキルなど |
ビジネス会計検定 | 経営・財務に関する基本的な知識が問われます。 | 中~低 | 顧客企業への財務分析、経営判断、コスト管理能力など |
リース営業に求められるスキル
リース営業は、先程紹介したように多様なスキルを要求されるハイレベルな職種です。ここでは、特に重要なスキルを紹介します。
顧客を納得させられる[コミュニケーション能力]
リース営業では、顧客のニーズや懸念を聞き出した上で利益が出るように提案を進められる、高いコミュニケーション能力が必要です。契約を結ぶためには、顧客との信頼関係の構築や複雑な契約内容をわかりやすく説明するスキルなども必要になります。
確実な方法で利益を出すための[論理的思考力]
リース営業においては、顧客のニーズに合っているかつ自社の利益が確実に出せる契約内容を、正確な根拠に基づいて考え出せる思考力も必要です。また、顧客が直面している課題を正確に把握して解決できる力も必要です。何度も契約を結ぶことで勝ちパターンを生み出し、実績とデータを作ることでさらに論理的に動けるようになっていくでしょう。
海外進出する業界で役立つ[語学力]
リース業界は近年グローバル市場へ進出していたり、多国籍企業との取引が増えていたりする傾向にあります。そんな業界でやっていくためには、語学力は重要なスキルです。さらに、交渉のためには語学力だけでなく文化的背景やビジネス慣習の違いを理解しておく必要があり、外国人と効果的なコミュニケーションを取るためのマルチな能力が求められます。
リース営業で培ったスキルを活かせるキャリアパス
リース業界は独自なビジネスモデルを展開している営業職ですが、職務経験が活かせる職種は意外にも多くあります。ここでは、リース営業マンが描いているキャリアパスの中から主流なものを紹介します。
M&Aコンサルタント
リース営業で培った顧客理解、交渉力、財務分析スキルは、M&Aや中小企業のコンサルティング業務に活かすことができます。企業の成長戦略の策定や業務改善提案などに携われる人気の職業で、給与水準も高い傾向にあります。
証券・銀行など金融業界の営業職
リース営業で培った金融商品の理解や市場分析、クライアントとの関係構築能力は、証券や銀行など他の金融業界の営業職にも応用可能です。金融ソリューションの提案や資産運用のアドバイスなどより専門性の高い業務に関わることができ、こちらもリース営業に比べたら給与水準も高い傾向にあります。
リース営業に向いている人・素質がある人の特徴
リース営業に向いている・素質がある人の特徴は以下の通りです。
この業界では、オフィス機器のリースをはじめとする法人向けサービスが豊富で、BtoBの営業が中心です。個人向けの飛び込み営業よりも戦略的なアプローチが求められるため、法人向け営業に挑戦したい意欲のある方には特に適しています。
またリース業界では長期契約が主流であるため、顧客との信頼関係を時間をかけて築き上げる必要があります。高いコミュニケーション能力を持っているだけでなく人と長く付き合うのが得意な人は、リース営業において大きな強みになります。さらに体育会系で培った精神的な強さや競争心は、営業の厳しい目標達成に向けた粘り強い努力に役立ちます。これらの要素を持つ方は、リース業界での活躍に向いていると言えるでしょう。
リース営業のメリット・デメリット[やりがいは何?]
リース会社での仕事には、特有の魅力とやりがいがあることから人気の職業ですが、つらい・激務と言われているようにマイナスな面も確かに存在します。そんなリース営業に向いているかどうかを、メリットとデメリットの両方を踏まえて確認してみましょう!
リース営業のメリット
リース業界で働くメリットは、営業マン自らが契約の構想を練って利益を生み出せるところにあります。貸し出せる商品に制限はなく、提案する契約プランにも大きな規則がないため裁量権が高く、やれることが多いためロマンのある職業と言えます。さらに個人向けの飛び込み営業はなく、法人向けの営業を行いたい方にはピッタリです。
リース営業のデメリット
まず、新規営業は想像以上に難しいという点があります。単純なリース案件でさえ複数のステークホルダーとの連携が必要で、事務処理も複雑で難しいハードワークが続きます。加えて、営業の自由度が高いことが逆に難易度を上げています。具体的な指示が少なくどのように営業活動を進めるかは完全に営業担当者の裁量に委ねられることから、責任重大との見方もできるでしょう。また多くの場合、初訪問の顧客はリース会社の営業マンをただのリース会社として捉えて門前払いを受けてしまうのが現実です。
リース営業はつらい?激務なの?
リース業界は、実はホワイトとしても名前の挙がることのある業界です。まず給与面や福利厚生が充実している傾向にある一面で、それに見合うような残業時間の多さや業務自体の難易度の高さなどハードな面があることは否めません。
しかし、プライベートの時間がほとんど取れない・給与が労働時間に見合っていないなどといったケースはリース営業ではあまり見受けられません。まったりホワイトとは言えないものの、金融業界の中ではリース営業はホワイトと言える位置に分類しているためおすすめです。