日商簿記3級/2級/1級を活かせる仕事は?何級から使えるのか・ダブルライセンスも紹介

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簿記とは、資産状況や財務情報を記録して整理・集計するための会計手法のことで、これを身につけることによって経理や金融関係の就職に有利と言われている人気の資格です。

しかし簿記は取った方が良いと聞くけど、本当に役に立つの?」「転職で有利になるのは何級からなの?」など、イマイチよくわからない人の多い日商簿記。この記事では、日商簿記は受ける価値がある資格なのかや、合格すると具体的にどのような仕事で役に立つのかなどを解説していきます。

この記事のまとめ

・日商簿記は3級から受けるのがおすすめ
・転職で有利になることが多いのは2級から!
・資格を活かせる転職先は人手不足の傾向があり、募集数が多い!

・結論、日商簿記は挑戦しやすくおすすめ!

日商簿記とは?試験の概要を紹介[試験内容・合格率など]

実は、簿記検定は2020年12月から2級/3級にネット試験が導入されており、従来からの統一試験に関してもも2021年6月から出題形式が大きく変更されています。ここで新しい情報にアップデートしましょう!

級の種類受験者数合格率受験日程受験会場
統一試験1級/2級/3級/初級(各回)
3級 約35,000人
2級 約13,000人
1級 
約8,000人
3級 約36%
2級 約23%
1級 約10%
年3回
164回: 2023年6月11日
165回: 2023年11月19日
(2/3級)166回: 2024年2月25日
全国にある商工会議所
ネット試験[CBT方式]2級/3級(累計)
3級 約255,000人
2級 約127,000人
3級 約41%
2級 約38%
以下の受験停止日以外随時全国にあるCBTテストセンター

日商簿記の簡単な概要はこのようになっています。日商簿記は、手軽に受けられて人気の高い資格と言うことが分かります。

ネット試験の受験停止日

・2023年11月13日(月)~2023年11月22日(水)
・2024年2月19日(月)~2024年2月28日(水)

2・3級は[CBT方式試験]でネット試験も受けられる!

先程紹介した通り、日商簿記検定の2級・3級ではCBT方式というネット試験が導入されました。これはコンピュータベースのテストで、紙試験に代わり指定のテストセンターでパソコンを使って受験する方法です。自宅では受験不可なので注意が必要です。受験料や合格条件は従来の統一試験と変わらず、合格後は「日商簿記×級合格」として履歴書に記載可能になります。さらに年3回ほどの統一試験と違って全国で随時開催されているため、都合に合わせた受験ができるのが大きな魅力です。

3級/2級/1級の違いを徹底解説

試験内容合格点合格率
(統一・ネット合わせて)
必要な勉強時間おすすめ度
1級商業簿記
会計学
工業簿記
原価計算
70%以上10%600時間(1年以上)★★★☆☆
2級商業簿記・工業簿記70%以上30%200時間(4~6ヶ月程度)★★★★☆
3級商業簿記70%以上38%100時間(2か月程度)★★★★★

このように、級によって出題内容が倍に倍にと増えていき、必要な勉強時間や合格率に差が出ました。しかし合格率をよく見てみると、必要な勉強時間は増えるものの2級と3級の間に大きな差は生まれませんでした。このことから、まずは3級に挑戦してみて合格し次第2級に前向きにチャレンジできる難易度ということが言えます!詳しい出題範囲や内容は、公式サイトからチェックしてください。

いきなり2級を受けても平気?

ここまでで、「いきなり2級を受けるのも可能なのでは…?」と感じた方も多いはずです。結論、3級から順番に受けていくのがおすすめです。ではいきなり2級を受けるのをおすすめしない理由とメリットを紹介するため、確認していきましょう。

まず、2級は3級の内容を当然のように含んでいるため、3級相当の基礎知識を身につけていないと勉強の効率が下がる場合が高いです。また2級は3級よりも難しく勉強時間が倍以上かかるため、モチベーションの維持ができるかどうかも難しいところです。

いきなり2級を受けるメリットとしては、3級→2級と順番に受けた場合よりも3級分の2,800円を節約できる点です。さらに、早い段階で2級資格を取得できる点です。通常、3級から2級とステップを踏む場合は最短でも半年がかかりますが、要領が良ければ2級だけのみの勉強4ヵ月で合格することも可能です。仕事上で早急に2級資格が必要な方には、必ずしも不可能とは言い切れない選択です。

とはいえ、200時間の勉強をきっかり4か月から半年に収められるとも限らないですよね。余裕を持った計画を立てるために、手始めに3級から受験して感覚を掴むのが堅実な方法と言えます。

いきなり2級を受けるメリット・デメリット

<メリット>
・2級からの方が受験料を節約できる
・勉強時間を節約できる

<デメリット>
・3級合格を前提とした内容のため、難易度が上がる

日商簿記3級は履歴書に書ける資格なの?転職に有利?

結論、日商簿記3級は履歴書に書く価値が十分にある資格です。すべての求人に対して有利になる、合格の決め手になるような資格ではありませんが、転職時に「この人は経理や金融の知識が一定あるんだな」と評価されるには良い資格です。しかし経理職を目指す場合は、逆に日商簿記は持っていて当たり前の世界となります。3級ではかえって書かない方が良い場合もあるため、2級以上の取得がおすすめとなります。2級以上であれば、必ず履歴書に書いてアピールしましょう。さらに大企業の経理職を目指す場合は、1級に挑戦してみましょう。1級を取得していると、転職時にはかなり有利に働くことが期待されます。

履歴書に記載する際は、一般的に「日商簿記検定試験〇級 合格」または「日商簿記検定試験〇級 合格」と表記できます。

日商簿記を活かせる仕事・求人は?どんな仕事に就ける?

実は、日商簿記の知識をそのまま活かせる財務・経理関連の職業はとても狙い目です。これらの職業は専門性が高い上にどうしても裏方の事務職というイメージが拭えないことなどから、人手不足が続いているという特徴があります。しかし給与は決して低くなく、企業には欠かせない人材となれることからとてもおすすめの転職先となっています。

ここからは、そんな日商簿記の資格を活かせる仕事の中でも狙い目の職業を紹介していきます。

おすすめの転職先3つ

・財務・会計スタッフ
・メガベンチャー・大企業の経理職
・会計事務所、税理士事務所

実務経験が無くても挑戦できる[財務・会計スタッフ]

財務・会計事務の仕事では、主に一般企業の財務関連業務を担当します。具体的な業務内容としては、給与計算や伝票処理、帳簿記入、決算業務、通帳記帳、入出金データ管理などの事務作業が挙げられます。これらの業務はどのビジネスや会社においても不可欠で、大手企業では財務と会計が別れていることが一般的ですが、小規模な会社では1人または数人でこれらの業務を担当することがあります。

最近では財務・会計の事務職において人手不足が起こっており、実務経験がなくても簿記3級以上の資格を持っていれば中途採用が叶う可能性が高いです。したがって、日商簿記3級を取得することは、財務・会計スタッフとしての仕事や求人に挑戦するための大きな一歩となります!

2級以上で活かせる[メガベン・大企業の経理職]

経理職に関しても人手不足が続いているため、日商簿記の2級以上を持っていれば未経験での転職は難しくありません。また経理職はどの企業でも業務内容に大きな違いはないため、大手やメガベンチャー、会計コンサルタントフォームなどの中から自分に合った企業を選んで転職できる魅力があります。大手の基本給の高い企業を狙った転職が人気ですが、CFOに興味のある経営に携わりたい方は裁量権の高いベンチャー・中小企業に転職することで経理部やCFOに昇進できる可能性が高まります。

1級を持っているなら給与の高い[会計事務所、税理士事務所]

日商簿記を活用した転職先には、高度な金融の知識が必要な会計事務所や税理士事務所も含まれます。簿記1級をすでに取得していたり実務経験がある方の場合は高い水準の給与が期待できます。会計事務所や税理士事務所への転職は高収入が叶うだけでなく、異なる企業の会計手法を学べるスキルアップの機会が豊富です。将来的には独立することも可能で、さらなるキャリアアップができるため多くの簿記取得者に人気の職業となっています。

ダブルライセンスを取るならこの資格もおすすめ!

人事・労務に強くなれる[社労士資格]

社労士資格と簿記資格の組み合わせは、非常に相性が良いです。社労士資格には労務管理や社会保険に関する専門知識が含まれ、企業の人事・労務管理に関する専門知識が身につけられます。

社労士と簿記のダブルライセンスは特に中小企業で重宝され、給与計算と経理業務を同時に担当することが多い経理職として活躍できます。この組み合わせは企業の財務状況を深く理解するのに役立つだけでなく、経理担当者との協力やコミュニケーションを円滑に行えるようになる相乗効果が生まれるため非常におすすめの資格です。

人気資格との組み合わせ[ファイナンシャルプランナー(FP)]

ファイナンシャルプランナー(FP)資格は、個人や企業の財務プランニングに関する専門知識を提供してお金に関するアドバイスを行う能力を養う資格です。ファイナンシャルプランナー(FP)は単なる計算に終わらず、企業の経済状況の全体像を掴んで金融目標を設定できるプロです。ファイナンシャルプランナー(FP)資格を併せ持つことで、お金の管理や投資、税金の最適化などの幅広い分野で専門知識を活用し、財政面で安定して企業を支える人材として活躍できるでしょう。

ファイナンシャルプランナー(FP)は職業名でもあるため、将来的には独立してフリーランスのファイナンシャルプランナー(FP)としてのキャリアパスも開けてきます。さらにファイナンシャルプランナーは日商簿記と共に人気の資格のため、転職時に良い印象を与えやすいというメリットもあります。不動産業界や金融業界では昇格基準にこれら2つの資格取得が求められる場合もあり、ダブルライセンスは取って損がないでしょう。

2つを組み合わせて活躍できる職種

証券会社や保険会社の営業
銀行員や証券アナリスト、保険アドバイザー
・税理士
・ファイナンシャルプランナー

数字に強くなるお手軽な[MOS資格]

MOS(Microsoft Office Specialist)資格は、Microsoft Officeソフト(Word、Excel、PowerPointなど)のスキルを証明できる資格です。MOS資格を取得することで、財務・会計事務に必要なデータ処理や文書作成、プレゼンテーションを効率的に行うことができます。受験者には学生の多い取得が比較的簡単な資格のため、同時に勉強を始める方法がおすすめです。

2つを組み合わせて活躍できる職種

・一般企業の営業職
・税理士
・会計スタッフ・経理職

日商・全商・全経簿記の違いは何?


「日商簿記」「全商簿記」「全経簿記」と簿記とつく資格は3つありますが、その違いは試験の主催者が異なるです。日商簿記は日本商工会議所が主催し、全商簿記は全国商業高等学校協会、全経簿記は全国経理教育協会が主催しています。これに伴い、試験内容や受験料が変わってきます。

合格率も異なり、たとえば簿記2級の場合日商簿記は10-30%のところ、全商簿記なら約60%、全経簿記は商業簿記が35-60%、工業簿記が80-90%とその差は大きいです。受験者層も異なり、日商簿記は社会人向け、全商簿記は商業高校の生徒向け、全経簿記は経理専門学校の生徒向けという傾向があります。

したがって、就職や転職の際のアピールポイントや自らのスキルアップの手段として簿記を選択するなら、これらの違いから自分に合ったものを選んで受ける必要があります!

過去問で勉強するには注意が必要!

2021年6月以降の2級・3級簿記検定試験から試験時間や出題数が変更され、試験範囲は変わらないもののスピードと正確性が求められる新しい試験形式に変わりました。

つまり、従来の2時間試験に対応した過去問をそのまま利用することはおすすめできません。しかし試験範囲に変更があったわけではないため、過去問を利用しての学習は継続して問題ないでしょう。注意すべきなのは、受験当日の時間配分を意識したトレーニングに過去問は使用できないという点です。従来の過去問を実力向上のトレーニングとして活用したうえで、新たな試験に対応した演習問題を使用しての勉強が求められます。ただし1級試験には変更がないため、通常通り過去問での学習が有益です。

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