キャリアJUMPは、あらゆる職業について徹底解説するいわば『職業図鑑』です。この記事で紹介する住宅営業は、顧客の希望や予算などの条件にあわせて住宅を提案する仕事です。また、住宅の修理や注文住宅の設計、リフォームの提案も行うなど幅広い営業を行っています。この記事では、そんな住宅営業のお仕事を紹介いたします。
住宅営業とは?扱っている領域
住宅営業は顧客の希望や予算に合わせて最適な住宅を提案する仕事で、契約後も顧客との関係が続くためコンサルタント的な役割も持ちます。また、建売住宅の取引額は数千万円、さらにリフォームも高額なケースが多く、住宅営業は企業の収益に直結する重要な役割を担っている難易度の高い営業職と言えます。
住宅営業が取り扱っている領域には、以上の3種類があります。建売住宅営業では、完成済みまたは建設途中の住宅を顧客に提案を行っており、この想像している人が多いのではないでしょうか。建売住宅とは「土地と建物がセットになっている」のが特徴です。
注文住宅営業では、顧客の要望に合わせて間取りや設備などを細かく決める必要があり、多くの打ち合わせが必要な営業です。そしてリフォーム営業は、既存の住宅の修理や設備の更新を提案する営業です。
住宅営業にはこの他にも、賃貸や売買の仲介、オフィスビルや投資用マンションの販売、貸出しなど非常に多くの分野があります。企業によって得意としている分野は異なるため、自分に合っているのはどれなのかを事前に見極めておく必要があります。
住宅営業の仕事内容・仕事の流れ
住宅営業は、顧客の住宅購入をトータルサポートする業務を行います。その仕事内容は主に四つの段階に分けられます:集客、商談〜契約、施工〜引き渡し、そしてアフターフォロー。以下でこれらの各段階について詳しく説明します。
①広告作りや宣伝での集客
集まず集客を行います。チラシ作成や配布、Webマーケティング、モデルハウス見学者への対応などを行い、見込み顧客に対して自社の住宅の強みをアピールして契約に至るための足がかりを作ります。ここに力を入れないことには集客につながらないため、しっかりと営業活動を行っていきます。
②商談を行って成約へ向かう
次に、不動産屋やモデルハウスなどに訪れた顧客や自宅訪問などで獲得した見込み客と、具体的な商談を行います。ここで「立地、間取り、価格」などの顧客のニーズを確認し、顧客のニーズに最も近い物件を提案していきます。リフォーム営業の場合も同じように、希望の条件を聞き出して理想に合ったリフォームを提案します。
ここでの商談が最も難しく、腕の見せ所です。住宅は価格が非常に高く、顧客にとって一大決心をしなければならない商品です。そのため営業には話術が重要で、多くのテクニックが必要になります。求められる営業テクニックについては、後ほど詳しく紹介します。
③引き渡しとアフターフォロー
住宅やリフォームの施工が完了したら、顧客への住宅の引き渡しや継続的なアフターフォローを行います。顧客に住宅ローンや税金のアドバイスを行う他、もし何かがあった時の修理や補修などのアフターケアを担当して顧客が快適に住み続けられるようサポートします。住宅営業がアフターフォローも行っているということは知らない人も多いですよね。アフターフォローがしっかりしていると、リフォームなどの新たな仕事の受注にも繋がるため、こちらも重要な仕事の一つです。
これらの流れを通じて、顧客の人生における大きな買い物である「家を買う、快適に暮らす」過程に深く関わっているのが住宅営業で、それぞれの顧客に合わせた最適な提案を行っています。
住宅営業は未経験からなれる?
結論、未経験から住宅営業への転職は可能です。不動産業界全体は決して誰にでも挑戦できるわけではありませんが、基本的に30代前半までであれば、住宅業界の特別な知識や営業経験がなくても、住宅営業として採用される可能性が高いです。他業界で営業経験がある場合は30代前半までの転職も見込めますが、30代前半を過ぎた場合は特別な営業の実績があれば採用のチャンスがあるかもしれません。
住宅営業を目指すのに有利な職歴
住宅営業への転職に有利なのは、もちろん営業や接客などを通して顧客への提案、販売を行った職歴を持つ人です。特に、売上成績や契約件数を示せる営業経験があると、住宅営業の仕事に直接繋がるスキルを証明できるでしょう。また、アパレルや百貨店などの販売員の他、ホテルやプランナーなどあらゆるサービス業での個人向け接客・販売経験も、責任者またはそれに近い経験があれば、顧客を第一に考えた提案を行って利益に繋げられる人材としてアピールできます。
住宅営業への転職に役立つ資格
資格名 | 概要 |
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宅地建物取引士 | 不動産取引に関する専門知識を証明する国家資格です。合格率は15%と低く難易度が高いのが特徴で、入社後の取得でも問題ありません。 |
ファイナンシャルプランナー (FP) | 金融や税務に関する知識があり、顧客に対する資産管理やライフプランニングのアドバイスが行える資格です。住宅営業の営業では直接住宅に関する営業を行う前に、金融の相談や世間話で信用を得ることが多いため、役に立つ資格でしょう。 |
インテリアコーディネーター | 室内空間の設計・装飾に関する専門知識を有し、住宅の内装に関するアドバイスが可能です。 |
住宅ローンアドバイザー | 住宅ローンに関する専門知識を持ち、購入者への金融アドバイスが可能です。 |
不動産仲介士 | 不動産の売買・賃貸仲介業務に関する専門知識を有することを証明できる資格です。 |
住宅に関する資格は幅広く存在するため、これといって必須の資格はないものの、持っていると有利になる資格はたくさんあるでしょう。さらに、営業職にはPC・事務スキルも求められるため、WordやExcelなどが問題なく使用できるMOS資格の資格や日商簿記なども、ビジネスパーソンとして持っていて損はない資格と言えます。
住宅営業に求められるスキル・培えるスキル
住宅営業は不動産業界の営業職であり、特定のスキルが必要とされます。大きく3つにまとめたので、詳しく解説します。
①目標達成能力
住宅営業においては目標数字の達成力、つまり”数字”が中心となって評価される世界です。始めの内は目標が達成できなくても仕方がないですが、それでも諦めずに食らいつき、なんとか結果を残そうと自らが努力する力が求められます。そうしてベテランになり実力が付くとそうした努力がますます実績に繋がっていき、トップセールスが目指せる人材となるでしょう。
②顧客ニーズの深い理解と提案力
顧客が実際に何を求めているのかを正確に聞き出して理解し、それに応じた提案を行う能力は住宅営業において不可欠です。これができることで「何を妥協すべきで、何が譲れないのか」を明確にでき、顧客にとって納得感のある契約がこなせるでしょう。さらに、目先のことではなく数十年後先のライフプランのことも考え、様々な視点から提案できる力も必要です。こうしたニーズへの理解と提案力は、実績に直結する重要なスキルです。
③トークスキルと信頼関係の構築
営業では、契約に結び付けるまでのトークスキルや、顧客との信頼関係を築くためのコミュニケーションスキルが求められます。不動産は価格帯が高くさらに他との差別化が難しいため、営業マンの営業スキルによるところが大きいです。身だしなみやビジネスマナーなど印象を大切にし、これらのコミュニケーション能力を磨いていく必要があります。
住宅営業からのキャリアパス
先程紹介した住宅営業で培ったスキルを身につけたら、数年後には立派なビジネスパーソンに成長できているでしょう。そうした中で、住宅営業をずっと続けずに新しい仕事に挑戦する道も当然開けてきます。住宅営業を経験した先輩がどのようなキャリアを歩んでいるのか、その一部を紹介します。
営業職へのキャリアパスが多く見られました。特にITや広告、人材業界などの成長業界は人気で、よりスキルアップをしたい方や無形商材に挑戦したい方、新しいトレンドに乗りたい方などにおすすめのキャリアパスです。さらに金融業界とは親和性が高く、不動産販売の知識が直接役立つためこちらも人気です。
また、営業職の基本となる顧客のニーズ把握や市場分析力などを活かし、WEBマーケティングやWEB広告などこちらも人気かつ成長業界での活躍も期待できます。このように、住宅営業で培ったスキルはさまざまな業界で通用するものです。まずは不動産で営業のいろはを身につけ、そこからより難しい業界へ転職するというのが多くの人が歩んでいるキャリアです。